第X3話
シャッフルして…1枚を渡す。
こちらも1枚山札から取る。
巨体が揺れている。
「せーの、で見せ合おう。幻影とか無しで頼む。いいか、約束したぞ?」
相手は幻影とかイカサマを使わない。使えない、はずだ。
ニャルラトホテプは頷いた。
「せーの」
こちらは「3」だった。最弱のカード。だが、ぼくには勝てるという確信があった。
相手の札…「2」。
最強のカードだ。だが…唯一、「3」には負ける。
「ハイ、勝ちー」
巨体が揺れている…いや、世界が揺れて…
気がつくとぼくは探偵事務所にいた。うとうとしていた様だ。雨もやみつつある。誰も来訪した様子もない。「ちゃんと電脳世界に帰ってきていた」。
勝つ自信があった。
ニャルラトホテプは「心を読む」能力があった。だが正確には「電流の流れを視る」能力だったはずだ。神経パルスとかいい加減な事を言っていたが、電脳世界のVtuber体に流れる電流の流れを視ていた。「未来を予知する」のも高度な知力での高い確率での予測に過ぎない。だから「Vtuber体ではない現実世界での「ぼく」が考えている事を知り得る事は無いし、高い確率で行動を予測するしかなかった」。
トランプ勝負、純粋な運の要素でぼくが負けなかったのは、「相手が運命を知り得て、知り得るならば有利な方に度々裏切っていたはず」だから。「運命に逆らうというコストを掛けない勝負なら、運命は必ず不利になる結果を求める」。因果応報だよ。
まぁ…唯一嘘がなかったのは「相手の要求した結果」だろうか。細かくはブラフがあっただろうが…。
さて、夢からは覚めたし…そろそろ活動するか。今日はマダミスの予定が入っている。現実世界のぼくは今はソシャゲをやりながらのエアロバイクをやり終えた所。これでなかなか忙しい。電脳世界のぼくは依頼殺到、痛快無比の大冒険を繰り広げる名探偵。人呼んで…バーチャル探偵あるある。
バーチャル探偵あるある あらかつま @arakatuma
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