オモテナカ

@kkym_isO_nR

第1話

私は、自分を隠している。

みんなが普通と呼ぶ箱庭みたいな

小さな小さな世界から外れないように。


僕は、自分を隠している。

自分の我慢してきた怒りが爆発してみんなを傷つけ自分が傷つく事が怖いから。


私は、走る。

こんな世界から逃げたいと。

個性なんてかけらもない普通が個性だという世界から。


僕は、逃げる。

まだ彼女のように走ることなんてできない。

きっと彼女も僕の本当の僕を知ったら嫌いになってしまうから。傷つけてしまうから。



私が自分に素直になったのはいつだっけ?

僕が自分に素直になったのはいつだっけ?



私はいわゆる1軍だ。

今日もみんなに合わせないと仲間はずれになっちゃう。

本当はこんな所にいたって

面白くもなんともないし。

でも合わせなくちゃ。

同じ仲良しグループでもその子が

いなくなった瞬間にみんな悪口を言いだす。

『ああ、これがいじめなんだなあ』

心の中でそう呟く。

でもその子が来た瞬間にみんないつも通り仲良しを演じきる。

なんなの?

あんたたち役者でも目指してんのかしら

そう思いながら今日も

オモテの笑顔でやり過ごす。



僕はいわゆる落ちこぼれ。

幼い頃に子役として抜擢され一躍

スターになった。

天才少年とも称された。

でも、全てが良いことではなかった。

知らない人から死ねと言われ

同級生からいじめられ

先輩後輩からもまるでゴミのような

扱いを受けてきた。

子役に抜擢されてから10年。

見た目も声も違うし仕事はもらえない。

でもみんなからの冷たい態度、

視線は変わらない。

「おい、今日も奢れよ。」

『もう仕方ないな〜!』

母さんの財布から盗んだお金で今日も

オモテの笑顔でやり過ごす。



私は、怖い。

いつか自分が悪口を言われるんじゃないか。

仲間外れにされるんじゃないか。


僕は、怖い。

我慢が怒りへと変わるのではないか。

その怒りが暴走するのではないか。

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