隣の席の王子様
@yumeyume0303
第1話
その日は、なんだか教室がいつもより騒がしかった。
「知ってる!?今日転校生がうちのクラスに来るらしいよ!」
「知ってる知ってる!どんな子かな?」
「どうせならイケメン男子がいいよねぇ〜!」
まったく、そんな情報どこから入手するのやら。
すると突然教室のドアが開き、担任の先生が入ってきた。
こういう時のみんなの動きは普段と比べものにならない。
「えー、今日はこのクラスに転校生が来ることになった。」
先生がそう言ったとたん、クラスが一気にざわめき出した。
「静かにしろー。じゃあ君、入ってきなさい。」
ゆっくりとドアが開いた。
ドアの向こうから現れたのは、なんと超美少年!!
サラサラとした焦げ茶色をした髪の毛、二重がとっても綺麗なブラウンの瞳。
輪郭はシュッとしていて、そこら辺の女子よりも小さい顔。
「今日からこのクラスに転校してきました、一ノ瀬海斗です。よろしくお願いします。」
彼がそう言った瞬間、女子たちの黄色い悲鳴があちらこちらから飛び交った。
「キャー!やばい、超イケメン!!」
「顔小さーい!」
「めっちゃイケボ!!」
まあ確かに、低くて男の子らしいカッコイイ声だ。
顔も素晴らしく、女子たちが騒ぐのも納得できる。
「みんな仲良くしてやってくれ。じゃあ、一ノ瀬の席は…」
先生はそう言いながら、一番後ろの角の席に目をとめた。
「お、あそこが空いてるな。一ノ瀬、あそこに座れ。」
「はい。」
先生が一ノ瀬君に座るよう指示したその席は、なんとなんと私の隣!!
女子たちが一気に私のことを睨みつける。
一ノ瀬は静かに席に座ると、新品のスクールバックを机の横へとかけた。
先生は何事もなかったかのように、いつも通り朝のホームルームを始めた。
とてつもないほど長い先生の話を、いつもなら睡魔と戦いながら頑張って聞いていただろう。
だが、今日は全然頭に入ってこない。隣が気になりすぎる…!
無理はないだろう。
いきなり転校してきた超美少年が、自分のわずか一メートル先にいるのだ。
挨拶くらいした方がいいよね…?一応隣なんだし…
私は勇気を持って話しかけてみることにした。
「あの、私桜井桃!よろしくね!」
そう言って優しく微笑んだ。
だが、隣の美少年から返ってきた言葉は予想のはるか斜め上をいくものだった。
「は?喋りかけてくんじゃねーよ。」
…………
一瞬何が起こったのか理解できなかった。
五秒ほどの沈黙が続いた後、私は恐る恐る尋ねた…
「あの、それってどういう…」
「日本語が理解できねーのか?話しかけんなって言ってんだよ。」
…な!こいつ、ちょ〜っと顔がいいからって調子乗っちゃって!!
「あ、あっそ!それは悪かったわね!もう二度とあんたなんかに話しかけませんよーっだ!」
なんなのよこいつ!!人がせっかく勇気を出して話しかけてあげたってのに!
この時の私は、もう二度とこんなやつと関わることはないだろうと確信していました。
そう、あの時までは…
隣の席の王子様 @yumeyume0303
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