セルフレイティング&他薦です
「ところで、大臣のところには何の用事なの?」
侍女はやっと、そのことをまだ聞いていないと気が付いたようだ。説教が続かないと見てロスは安堵し、託された資料を侍女の目の前で振って見せる。
「これを届けに。明日の会議資料だよ。大臣は今、商務省で話し合い中だろう?」
ロスの説明を聞くと、侍女は苦笑いを浮かべ、瞳には若干、哀れそうな色を浮かべる。その表情はロスを不安にさせるに十分であり、侍女の言葉は彼の嫌な予感が的中したことを示す歓迎したくないものだった。
「あなたって本当に、運がないというか間が悪いというかご愁傷様というか……」
「その失礼な言葉の羅列は何だ……」
聞きたくないなぁと思いつつ、聞かずにはいられない。
「午前中に商務省には厄介な案件が持ち込まれたらしいのよね。市場や店で売る商品の中には、お酒や煙草みたいに若い人には毒になるものもあるでしょう。あと、食べ物の中には食べると具合が悪くなったりするものもあるし。そういうものにどこまで表示をつけるべきなのか、って」
「あぁー……酒煙草はともかく、他のは厄介だな……もうはっきり基準が決まってるものならいいが、そうじゃないのは線引きが難しいし」
「書物の類でも似たような相談があるらしいのよね。これは青少年が手にとっていいものかとか。基準の制定に議論白熱らしくて」
溜息と共に打ち明けられた事情は、さらに聞きたくない……いや、聞いても聞かなくても事態が変わるわけではないのだが。しかし答えはわかり切っていつつも聞いてしまうものである。
「じゃあ、今商務省に行ったら……」
「今商務省の邪魔に入ったら、それこそ書類束が飛んできそう」
殿下自らが行くならともかく、と侍女は付け加える。あの人は大臣の機嫌がいくら悪くてもうまいこと話を回すのだ。殿下に自分で行って欲しかった、とロスは内心で叫んだ。
そんな彼の落胆具合に、侍女はちょっと親切心が沸いて朗報も付け加えてやる。
「新しく出てきた品物で、興味深いものや良質のものもたくさんあるわよ。さっき見本品の検分が終わって、城仕えの私たちにも回ってきたから。それ見て頑張って」
にこやかな笑顔には同情と——やっぱりこの気苦労の多い従者をどこか面白がっている風があった。
***
こんばんは。そろそろ書き溜めたストックがなくなってピンチなところにどかっと締め切りの早い仕事が来てます。十万字いかなかったら……怖いです。
まずは予告通り他薦! 普段お付き合いのある方のものが多いのは、ご容赦ください。長編でお届けします。
普段のエッセイでご紹介していますが、恋愛ものでは野々ちえさん
『今日に捨てていく』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888967236
これ、まだ最新話まで行っていませんがお勧めしてしまいます。というのは、楽しみすぎて最新話にいけないんです。じれじれの恋愛、もうどうなっちゃうのこの二人さっさとくっついてよ! と思いつつ。周りの友人達の心遣いも身にしみる作品です。段々、私のコメントが男性主人公に辛辣になり、崩壊していくのは面白いからです。すみません。
宇部松清さん
『テナ&プーヴァと厄介な客人』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883420258
短編も面白い宇部さん。こちらは魔女と人語を解す熊さんが、困った客人達を相手に頭をめぐらし魔法を授け……御伽噺のようにほんわかしておりますが、ちょっとチクリとする教訓も含まれた味わい深い作品です。
如月芳美さん
『よんよんまる』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885789358
クラシックが好きな方なら絶対にハマりますよ! 自分が立てた「演奏表現のある小説」の企画に参加なさっていて読み始めたのですが、二人のピアノの奇才イケメンが織りなす物語。まだ序盤でしょうか。それでもハマってしまう。作中に出てくる曲の選曲も、読者がわかりやすいだろうものから良作を選出。テンションが上がって読んでいます。
まだあるんですけど、長くなってきてますまた次の機会に。
***
表題の本題に入ります。「セルフレイティング」です。
本日公開分の『天空の標』、まぁ際どいところに来ました〜。普段私が全く書かないタイプですね。改稿前にすでに元の形はあったものです。これはチャレンジでもありました。(本日の皆さんの反応が……! ありがとうございます。後でお返事します)
で、問題はどの程度ならセルフレイティングを入れたほうがいいのか、というところ。
「時の迷い路」はノーレイティングです。一応、終盤に暴力描写、若干掠ってる? というところが出てくるんですけど、そこまで激しくないし、本当にレイティングまで行かないような程度じゃないかなこれ……と。
本日更新分に関しての疑問は、「性描写あり」に関わるわけですが、その基準です。私の頭の中での逡巡は(現代ではなく、一昔前?の基準です、男性の方、わかりにくいかもでごめんなさい)、
「なかよし」までなら無しでいい(「りぼん」の一部からはダメ)。
「りぼん」までなら無しでいい(「花ゆめ」の一部レベルからはダメ)。
「花ゆめ」までなら無しでいい(すみません、それ以上はほぼ読んでないと思うのでレーベルがわからない)。
どれだろう!?
というわけです。
今回がどのレイティングに入るかは、次回公開分で読者様最終ジャッジを期待しております(笑)。
あと今日気がついたことをついでに。
あと35000字ほど。週2回更新でも間に合わない(一回分、大体目標2000字)。
異世界ファンタジーで登録しているけれど、カクヨムコンの募集要項見ると、これってキャラクター文芸?
いろいろ錯綜してます。仕事も錯綜してます。1日48時間欲しいです。
あ、あと「時の迷い路」、読み専さんでしょうか? 昨日からうなぎ上りにPV増えてるんです。ありがとうございます。
それからテハイザ国の入国回数が1000超えました! ありがとうございます!
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