ありふれた夜が終わる頃に

@sumirekeita

第1話 地下鉄の通路より。

朝のラッシュは相変わらずな辛さを押し付けて全然優しさのかけらもない。地下鉄の交差する地点からは人の怒涛の押し寄せと、目に見えない埃の大量な塵芥が僕の吐く息よりも速く鼻から似非くさい匂いと共に喉の奥に引っかかっる。

次の乗り換えまで後僅かの階段。右に折れてさらに階段。前から強引に降りてくるバカ女。ここは左側通路だ。ルールを守れよ!とジロリと睨むが全くのあさってのスマホ猿だ。歩いている時くらい集中して歩け!と本気で思うけど、どいつもこいつも猿ばかりだな。最近分かって来たことに『私は悪くない症候群』の人間が増えているらしい。何となくわかる気がする。良きにつけ悪しきにつけ個人尊重はいいがまずはルールは守ってからの話しだな。


左にエキモ右に御堂筋ライン。

?!

左の隅にしゃがみ込んだ若い女。

どう見ても会社勤めのOLぽい。しかし、果て?どうしたのか?苦しそう。何故かスルーで通り過ぎてしまう。!!が、ヤメた。僕の信条に反するわ。急いで戻った。

大丈夫ですか?どこか痛いですか?


僕の顔を下からゆっくりと覗き見て苦しそうに話した。


ちょっと目眩がして、大丈夫ですから。


行き交う人の目が気になるらしい。ちらちらと伺う視線ばかり。


僕はほっとけなくていきなし、抱き抱えた。

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