ビヨン ザ グラス
想人~Thought~
第1話 "恩恵"
とある田舎の田園地帯。そこは数多の田んぼが連なっている、面積が非常に広い所である。その田園の中央に存在している川は、それぞれの田に水を供給するだけあって中々大きい。そしてその川の中には、鮒やメダカ、蟹や海老など無数の様々な水生生物達が生息しており、また川の岸は両サイド共に豊かな緑を延々と纏っている。
「ようバリー、調子はどうだい?」
妻のリズと共に水面から直ぐ手前の草地に居るショウリョウバッタのバリーに、テナガエビの青年ダックが水中から話し掛けた。
「やあダック、お早う。今日も僕は元気だよ。季節も夏を迎えて、毎日晴天に恵まれてる日々。今日も気分が清々しいよ。ダックも相変わらず、元気そうだな」
「ああ。元気だけが俺の取り柄だからな。しかし相変わらずの良い食べっぷりだな、バリー」
「ああ、此処の草は、本当に美味しいからね。綺麗な自然の恵みだよ」
「良い事言うじゃないか。でもリズさんにもちゃんと食事分けてやれよ、リズさん妊娠中なんだからさ」
「見ての通り、此処は食料の宝庫。君が心配しなくても、充分リズは食事が出来てるよ」
「分かってるって、ちょっと冗談を言ってみただけさ。…なんか君等を見てると、俺もお腹が空いてきたな。…じゃあ俺は、この辺で失礼させて貰うよ。リズさんも、沢山食べて元気な赤ちゃんを産むんだよ!」
そう言ってダックはその場を去ったのだった。
ダックが去ってから暫くして、バリーとリズは食事を終えた。
「あー、お腹いっぱい。ご馳走でした!」
「今日も美味しかったな、リズ」
「ええ。美しい自然があって、美味しい食べ物が豊富にある。私達は、その恩恵に感謝しなければいけないわね。私達の為に犠牲になったこの草という命達の事を、決して忘れないようにしなきゃね」
「そうだな。そして、これから産まれて来る新しい命の為に、頑張って生きていかなきゃな…」
この田園地帯が田舎という環境に存在しているだけあって、やはりこの場所はとても美しい(別に都会という場所を否定している訳では無い)。唯だ、この世界に産まれたという「運命」と、自然の恩恵に感謝する日々に、彼等は歓喜の感情を出さずにはいられなかったのだった。
ビヨン ザ グラス 想人~Thought~ @horobinosadame
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ビヨン ザ グラスの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます