これほど愛おしく描き出した作品があったでしょうか。あのスライムを。そして、人間を。
ちょっと遊んだ感じのレビューを書きたくなってしまうのは、この作品が持つワクワク感や親しみやすさ、そして作者様の人柄が滲み出る真摯な筆致についつい心を開いてしまうからではないかと思います。
シリアスかと思ったら不意にコミカルに畳み掛けてきたり。異世界で懸命に生きる彼らの姿に時に胸が熱くなり、思わず涙したり。こういう作品本当に好きだなぁと、内心呟きながら夢中で拝読しました。
常に作品に寄り添う作者様の描く世界はどこか優しくて、情があり、温もりを感じます。血の通った作品とでもいいましょうか。
綺麗事で済ませたくなることもこの作者様は真摯に描いていて、『もしかして今自分が正しいと思ってることは本当に正しいのだろうか? 』と、拝読しながら自分も持っているかもしれない思い込みを不意に感じてドキリとしました。そこを切り捨ててしまわず絶妙なバランス感覚で作品として纏め上げてるところに、作者様の力量と、作者として作品の世界を見守る愛情の深さを感じます。
非日常の世界で描かれる日々の営みの中に、懸命に生きようとする彼らの意気地を感じます。
かえって新鮮な驚きと喜びをもって、人情とでも言うべき感情に触れられる本作品は、エンターテインメントそのものではないかと思います。
忘れたくないモノが沢山詰まったこの作品、これからの時代もぜひ生き残って欲しいと、願わずにはいられません。
にこにこマート、大好き。
連載中ではありますが、レビューを書かせていただきます。
なぜか? にこにこマートの常連客を増やすためです!
とある閉店寸前のスーパー『にこにこマート』はある日、雷に打たれ、店舗と従業員が異世界へと転移してしまいます。
店長の沢渡と駆け出し店員の高橋の二人はこの逆境にもめげず、新たに『にこにこマート』をこの地でオープンさせます。
ですがまぁ、そこはやっぱり異世界。現代とは事情が大きく違います。
ここから二人の困難とその打開、そして彼らを助けてくれるモンスターたちとの絆が結びつき、物語は加速していきます。
この設定を十分に生かしつつも、さらに極上のドラマに仕上がっていく様は、まさに作者ならではの筆の冴え。
親しみやすく読みやすい語り口の良さはもちろん、語られる物語そのものが喜怒哀楽がたっぷりあって、なんとも面白い!
それらから魅力的なキャラクターたち。人間味あふれる主人公たちに、さらに『人間味』があふれちゃってるモンスターたちのなんともいいこと。
彼らが困難に立ち向かい、にこにこマートをより良い店にしようと頑張っている姿は、感動と笑いに満ち溢れています。
異世界を題材にしていながらも、どこか現代ドラマを読んでいるような気分になる不思議な物語で、ほんわかしているようでも、なにか芯の通った力強さがあります。
とにかく先が気になる面白さなので、連載を追いかけて楽しんで欲しい、と思います。ホント面白いです! ぜひ。
雷にうたれ異世界に移転したにこにこマート。
店と一緒に移動してしまった沢渡店長と高橋くんだが……。
連載中「Lv.27 勇者様御一行ご来店」読了時点のレビューとなります。
どんな境遇になろうと明るく精一杯お客様に喜んでもらおうと奮闘する沢渡店長。
そんな店長に足並みを揃え、時には斬新なアイデアで店を盛りたててくれるまだ入社3ヶ月の高橋くん。
二人は人格者であり、異世界においてもモンスターに慕われ、一つひとつ問題を乗り越え、信頼を築いていく様子がとても楽しい物語です。
そんな彼らの前に勇者様御一行が現れるのですが……モンスター視点で進んできたが故に、酷い人間に見えてしまう!
もちろん勇者サイドから見たらそうでもないのかもしれませんが。
様々な人間やモンスターが行き交う中、にこにこマートはどんなお店に成長するのでしょう。
そして沢渡店長と高橋くんはこちらの世界に戻れるのでしょうか。
最後まで追っていきたいと思います。
執筆頑張ってください!
文章や構成、世界観などがとてもしっかりしてる上での異世界ファンタジー。しかしただの冒険活劇ではなく、スーパーマーケットが舞台になっているという一風変わった作品。だが読めば、必ず引き込まれること請け合い。読み易さもさることながら、読ませていく技量が凄い。
スーパーマーケットを運営していくサワタリとタカハシは人間だが、周りはモンスターだらけで、そんな違い過ぎる彼らが少しずつ絆を育み、成長していく姿に胸をうたれる。
個人的にはがいこつ剣士のガイさんが好きなキャラで、ガイさんがメインの回で恥ずかしながら涙してしまった。
個人的には一番書籍化して欲しい作品。
たぶん、これまでいろんな人やモノが異世界へと転移した。高校生やニート、プログラマーや自衛隊、シェフや医者…… だが、この物語で転移したのは何とスーパー。それもどこにでもある様な店舗!しかも閉店間際というオマケ付。
このお話はそんなスーパーが異世界という商圏で顧客、従業員、お金、ニーズに悩み、毎回起こるトラブルを解決し、前へと進んでゆく物語です。
暖かく、優しい物語ではあるのですが、しっかりと商業の目線を保ち続けているのでドキュメンタリーようでもあります。
ソフトながら整理された文章構成も読みやすく、大きな魅力です。ぜひご一読を!