冒頭から海の美しい描写に引き込まれ、生き物たちの織りなす豊かな世界に魅せられました。読み進めていくうちに、SF要素が加わって、独自の世界観が現れます。体を重ねることはできなくても、唇を重ね、記憶を受け継ぐことはできる。それは主人公ふたりにしかできない尊い愛の形なのだということがひしひしと伝わってきました。佳作なのでぜひお読みください。
起承転結の展開がとても心地よいSF小説。彼女とぼくが守りたかったものの、描き方がとても切なく美しかったです。
純度の高いSF作品です。切ないけれど、静かな余韻を残す幕引きに、ほおっと吐息が漏れました。
素敵な海中散歩の光景。読めば自然と目に浮かんでくるその美しさに、最初は心が奪われました。 ですが、読み進めるうちに気づきました。その『素敵』はまだ、この作品の魅力のほんの表層に過ぎない、ということに。 次々と見えてくる『素敵』に、私は最後まで圧倒され続けました。
冒頭の詩的な雰囲気と、後半のSF的な展開の一見相いれない要素が、上手く調和した、絶妙な世界観を楽しませていただきました。短編で書かれていますが、続編や、オムニバス、番外編などあったら読んでみたいです。
先入観なしで読んで欲しい一編です。