最終話 みんなまとめてハッピーエンド。

「いやあ、本当にありがとうございました。神楽坂さんには感謝してもしきれません」

「いえいえ。お役に立ててよかったです。子どもたちもきっと喜びますね」

「ええ」


嬉しそうに目を細める校長先生を見て、本当によかったと心から思う。


あれから。


学校へ桜の木を移植させてもらえないかと相談の連絡を入れ。工事業者から全面的に条件をのむと連絡が入り。工事業者と学校と念密な打ち合わせを重ね、引越日が決まった。

事務所所員と、なんかびっくりするほど集まってしまった幽霊たちと立ち会い、植物運搬のプロと植物のプロ監修のもと、厳戒態勢で引越し作業が行われた。

半日にも及ぶ作業も終わり、小学校の校庭に桜の木がどっしりと腰を下ろした。

子どもたち、保護者、教職員、その他にもたくさんの人が集まってきて、桜花も嬉しそうだった。


よかった。


「桜花ちゃん、どお? この場所は」

「ああ、すごくいい。それにしても…見張ってくれる幽霊があんなに多いとは思わなかったが」

「だよね。あれはあたしもびっくりしたわ」


二人で顔を見合わせて笑う。月乃たち幽霊陣が桜花の方へやってきたので桜花に別れの挨拶をし、校長先生にも挨拶してから、あたしは事務所へ戻った。


これからたくさんの子どもたちに囲まれて、賑やかになるだろう。桜花も寂しい想いをしなくて済むかな。たまには、みんなで会いに行こう。




−数日後−



「ちょ、なんであんたがここにいるのよ!?」

「ん? とめさんにお茶に誘われてな」

「いや、だからそういう事じゃなくて! 桜花ちゃん、地縛霊じゃないの!?」

「違うぞ」

「あかね、お前馬鹿だな」

「そもそも地縛霊やったら引っ越しなんてできるわけないやん」

「あかねさんはおちゃめさんですねえ」

「かわいい」

「うるさいわっ!!!」

「これからもちょくちょく遊びに来させてもらうぞ」

「桜花ちゃんならいつでも大歓迎だよー」



だ か ら !!! ここは幽霊寄合所じゃないんだってば!!!

感情のやり場を見失ったあたしは、なすすべもなく机に突っ伏した。



また一人、いや一幽霊常連客を増やした神楽坂霊感探偵事務所。


今日も、平和です。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ようこそ 霊感探偵事務所へ! 丹波このみ @tannbakonomi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ