あとがき(今を描く・私を描く)

職場の人に「十字路」という話を読んでもらったとき、「これは体験談?」という質問を頻繁に受けた。私としてはそんなのどっちでもいい気がしたが、確かによく知る人がある日小説を書いて持ってきたら、気になるのかもしれない。それじゃあもっと気にさせてみようと書いたのが今回の話だった。今の私をそのまま登場させ、ひとりの女性に過去を暴かせるのである。今の私がそのままなので、必然的に職場の人も出てくることになり、前述の人も登場することになる。


ただし、そのまま登場させても行き詰まる気がしたので、環さんは、2人のモデルのどちらにも寄りすぎないように注意した。それでも書きづらさは最後まであった。途中の段階で

「由真は何がしたいのかわからない」

「由真はやたらともったいぶる」

などの感想ももらったが、それらはすべて現実世界に寄りすぎてしまったために起きた、ためらいだった。例えば何年か前にあった出来事や出会った人を出すのはなんともないが、ここまで近い人、さらに確実に読むとわかっている人を登場させるのは、どこかで誤解を生んでしまいそうで怖いのである。書き進むにつれ神経質になってしまった。それでも環さんの夢のシーンだけは書いて良かったと思えた。書き終えてから、もっと色んな人を出せば良かったなと思った。私の職場は個性的な人が多いのである。私は全くノーマルなのだが、その人たちに合わせるために、わざと変な風に振る舞うのである。


ちなみに、由真のメールはすべて創作である。Nも架空の人物である。

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歩道橋 fktack @fktack

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