第13話 南米時間

 南米時間というかなんというか……。

 一概にはいえませんが、南米において(範囲が広すぎ…)、日本よりも「時間をあんまり守らない」傾向があるのは確かなことでしょう。

(一部の欧米人を相手にしたツアー旅行などはこの限りではないと思いますが)。


 年末に、ボリビア音楽を演奏する集まりに参加したときのことでした。

 当初示された16時という集合時間に会場へ行ったものの、十数人いるはずのメンバーのうち、私以外の人は誰もいません。

 会場のお店の鍵は開いていて、ドアを開けてみると暖房が効いている様子。

 来た人から入ってろってことなのか? と思いつつも、初めてくる場所なので、勝手に入るのも気が引けます。主催者の人に「時間になったのに誰も来ていませんが、なにかあったのでしょうか」とのメールを入れつつ、外のベンチで軽く笛の練習をしながら待っていました。

 それから二十~三十分くらいしたころ、ようやくメンバーの一人の方がやってきました。

「まだ誰も来ていないんです」

「ええ? でも開いてるんでしょう? 入って大丈夫ですよ」

 二人で暖房の効いている会場に入り、暖房は効いているものの電気のスイッチがわからずああだこうだ言っていたら、お店の方がやってきて電気をつけてくれました。涼しい顔して「マイク使うんですか? 使わないんですか?」なんて話をして、また去っていきました。

 メンバーは一向に増えません。

 みんなそんなに時間にルーズな人たちにも見えなかったけれども、何があったのだろうと思いつつ笛の練習をしていると、主催者の方から返信があり、会場の管理者の都合で、会場を使える時間が17時10分からになったので集合時間を変更した、私をラインのグループに入れ忘れていたため連絡がいっていなくて申し訳なかった、とのお知らせがありました。

 なので、会場に入れたし、すでにSさんは来ていますと返信したので、向こうもびっくり。

 Sさんに事情を話すと、「たしかに昨日連絡はもらっていたけど、自分は内容を理解できていなかったようだ」ということで、まあ謎(?)は解けました。

 いろいろ連絡に行き違いがあっても、それでもなんとかなってしまうのが南米です。そうして南米に住んでいたり旅行していると、だんだんそういう習慣が体にしみついていくのでしょうか。

 なんだか、南米にいたときのことが懐かしく(?)思い出されるようなできごとでした。

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南米あれこれ 高田 朔実 @urupicha

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