ワンライお題「他人(ひと)とは違う瞳」
「なぁ姉貴、僕ら3人ってそれぞれみんな瞳の色が違うけど、なんでなんだろうね」
「いきなりの疑問だねセナ。一応、僕ら両親ともに同じ血が流れている筈だけどね」
ふと、小さい頃はあまり気にならなかった。3姉妹でそれぞれ瞳の色が違うという事実、気にしたことは中学生に入る位に僕が家に泣きながら帰ってから、かな。
緩やかに僕らは気にせず過ごしてきたのに関わらず、他人からある日言われた「セナさん達の瞳って私達とも違うしお姉さんである戀(レン)さんとも瞳の色違うよね?」という軽い質問からだった。
そこからというもの、僕は曽祖父の家へ引っ越し、離れ、転校して友人と離れ離れになってまで自己を護りに回ったけれど、姉貴や、咲夢(サクラ)という大切な姉妹を置いて離れてしまった後悔はあるけれど、自分という自己精神を守るための致し方ない事だと、姉貴は言っていたけれど、それでも僕は後悔という道を作ってしまった。
姉貴や咲夢は僕を守る為という理由で我慢してくれたけれど悲しい。
「晶と唯も兄妹で違う瞳を持っているけど、あの二人はどうしたんだろうね?」
「あーそういえばあの二人も他人とは違う瞳をしていたっけ?」
気にしたこと無かったけれど、僕と付き合っている晶も、僕に対して未だに僕を護ってくれている唯も、両者共に瞳の色が違ったな。と言われて気付いた。
「今の時代というか年齢ではカラーコンタクトとかで誤魔化して言い訳着くけど、中学生ぐらいの頃ってダメだったもんね」
「そういえばそうだね。というか、僕より姉貴の方が大変だったんじゃない?」
姉貴はよく見ないとわからないけれど、オッドアイとなっている。
いつも眠そうな瞳をしている姉貴は気にした様子を見せたことが無いけれど、僕より大変だったと思う。
僕に対して護るより、姉貴を護るべきだったんじゃないかと、思考した回数は幾しれず……。
「唯も唯で、大変だったみたいだけどね、晶と二人で生活してて、両親蒸発してしまっていて、”悲しむ”暇なく引きこもりになり、インターネットや技術に対して強くなって行く唯を僕はよく見ていたよ」
「晶君は、僕らで守って居た側だね。だってそうじゃないとあの子は今この世に居ないと僕は『断言』できる」
「……。自殺未遂かなんか起こしたの?」
「いや、セナのファンの一人だったみたいでさ、ちょっと色々とね……」
何故か言葉を濁されてしまったけれど、要するに僕が居なくなって僕の様に金髪蒼眼という『目立つ』物が居なくなったせいで矛先が晶や唯に向いてしまった訳で……。
やはり僕は後悔ばかりの選択肢を選んで生きて来ているんだなと再度思った。
依藤家の短編 @e10ulen
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