第6話

ここしばらくとっても具合が悪くていつものご飯もきちんと噛んで食べることが出来なくなってしまった。

めいちゃんがドロドロにしたご飯を注射器みたいなのでお口に運んでくれるからそれを頑張って飲み込んでた。最近、めいちゃんがお仕事で1人の時、よく考える。るびはこのあとどこ行くのかなって。噂に聞いた天国って場所は本当にあるのかな?たぶんお母さんはもう天国にいるんだろうなぁ。お兄ちゃんも、もこちゃんもいるかもしれない。れおくんはどうだろう、まだいないかな。


天国には何があるのかな。そこでるびは何をすればいいのかな。行ったことのない場所に一人で行かないと行けないなんてちょっとこわいな。最近ずーっとそんなことを考えて、眠って、めいちゃんに甘える毎日をすごしている。


「ただいま、るび」

おかえりなさい、めいちゃん。でもそろそろるびが行ってきますしないといけないかも。

さっきからとっても眠くて眠くて、でもめいちゃんにきちんとご挨拶してからがいいからがんばっておきてたんだよ。最後に沢山ほめて、沢山頭をなでて。


めいちゃんもるびの気持ちを察してくれたのかいつもはご飯を食べたりお風呂に入ったりするのに、今日はるびのとなりにずっといてくれる。めいちゃんのお膝で頭をなでてもらってるびいまとっても幸せだよ。


るび、お出かけしちゃうの?

るびの頭の方からめいちゃんの悲しそうな声が聞こえてきた。ごめんねめいちゃん、もう行かないとかな。

「るび、知ってる?うさぎさんはね神様のお使いなんだよ。るびは神様に言われてここに来てくれたんだね。つらいこともたくさんあったかもしれないけど、私のところに来てくれて本当にありがとう。毎日すごく楽しかったよ。神様のお手伝いがんばるんだよ。」


天国で何をしたらいいんだろう。そんなこと考えなくてよかったんだね。神様のお手伝いしたらいいんだ。そっか。神様のお手伝いをして、よくできましたってたくさんほめてもらってたまにお母さんやお兄ちゃん、お友達と遊んで暮らしたらいいんだ。なんだか怖い気持ちがなくなったよ。ありがとうめいちゃん。


るびは天国で幸せに暮らすよ。今度こそみんなとずっと一緒にいられるからね。


最後の力を振り絞ってめいちゃんのお顔にるびの鼻をつんってした。ばいばいめいちゃん、ありがとう、いってきます。


「行ってらっしゃい、るび」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

うさぎ 椿木るり @ruri_tubaki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ