◆◇最終話◇◆ エピローグ
絶え間なく風が吹き通り過ぎていく草原。
見晴らしはよく遥か遠くの方まで、瑞々しい緑が続いている。
空には太陽が地上の生き物達に
平等にその眩い光を降り注いでいた。
草原の中に一画切り取られたように開けた、
色とりどりの花々が咲く場所。
銀色の髪をした美しい少女が一人花を愛でている。
如雨露から水をやっていた。
柔らかなまなざしを花々に向ける、
少女の周りだけ時間の流れは穏やかで、
ゆったりと流れているかのようだった。
草をかき分け少女に近づく足音が一つ。
少し癖のかかった栗色の髪の少年だった。
少年は少女の存在に気がつくと声をかけた。
「こんにちは」
唐突に声をかけられ少女は体を小さく震わせ、
風に靡く髪をおさえながら顔を上げる。
少女のアイスブルーの瞳には警戒の色が浮かんでいる。
怖がらせないようにとでもいうように少年は笑みを浮かべ言った。
「綺麗な花だね。君が育てているの?」
少女は花々を見やり何を応えるでもなく戸惑うだけ。
もじもじと恥らっているようで何も答えない。
内気そうな少女だった。
「ねえ、僕と一緒に遊ばない?」
少年は手を差し出した。
栗色の瞳には少年の持つ優しさが滲み溢れている。
「遊ぶ・・?」
少女は初めて声を発した。
少年の手と自分の手を交互に見つめる。
ちょっと俯きがちに躊躇った末、
恥ずかしそうに少女は手を伸ばした。
少年はしっかりと、
でも壊れもものを扱うかのようにその細い手を優しく握った。
手をつなぐ。
少年の笑顔が眩しく弾けた。
「僕たち友達になろう」
「とも・・だち?」
初めて聞いた言葉だとでもいうように、
少女は不思議そうに呟く。
少年が笑う。
少女は赤くなりながら微笑み頷いた。
花を抱くその小さな胸は
新しい何かが始まりそうな予感で浮き立つ。
少年と少女。
二人は歩いていく。
目的地はなく
ただ二人一緒に。
手をつないで
どこか
誰も知らない
新しい場所へ
まだ見ぬ
新しい何かを
求めて
これから少年と少女たちは仲良くなるんだ。
ここから新しく始めていくんだ。
もう遠い遠い昔。
あまりにも遠すぎて。
忘れてしまったけれど。
果たすことのできなかった大事な何かを
今度こそは
なくしてしまわないように
壊してしまわないように
実らせるために。
花咲かすために。
二人一緒に
手をつないで。
~fin~
暗黒の魔法少女ターシャ~復讐してもよろしくて?~駄目に決まってるでしょ! @yuuki53
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