「想像は気がついたら出来てる痣のようなもの」
はたのっくす
第1話
どこか他人事のように思っていた事が突如、自分に訪れた時、あなたは受け入れられるだろうか。
私はできなかった。いや、認知しようとすらしなかったのである。
思えば、子供の頃から遠慮がちな性格だった。
親からは「人に迷惑をかけるな。」と躾けられた。
子供ながらに必死に解釈しそれを努めた結果出来上がった人間が私である。
私は特に何かを望むことはなかった。
他の子供がそうであるようにゲーム機やおもちゃをねだったりもしたが、実際のところそれを手にしても喜んだりする事はなかったように記憶している。
周りからはひょうきん者だと言われたが、それは肥満児であった私が不必要にからかわれるのを嫌って演じていたものだった。
道化は得意だった。
よく空想に耽り、時折現実と空想の区別がつかなくなることも少なくなかった。
演じる事が日常になると、やがて自分自身が何者なのかわからなくなった。
おそらくその頃だろう。
その頃からずっと、私は私ではない。
まるで、気がつかないうちに出来ている痣のように掴み所のない存在のままだ。
「想像は気がついたら出来てる痣のようなもの」 はたのっくす @hata8
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