第21話 猫は神の使い
玄関のドアを音を立てないように閉めて、そぉっと靴を脱ぐ。
泥棒みたいに慎重に家に上がった。
物置部屋をのぞいて猫の様子を見ておこう。丸まって眠っている様子を確認した。
そしてトイレに向かう。
トイレで深いため息をつき、音を立てて、トイレから出る。
そのまま堂々と、何もなかったかのように寝室に行き、妻の隣のベッドに横になるつもりだ。
ったのだがリビングを通って気がついた…
あ!ソファーの上に赤ん坊を寝かせていた名残りがある。やばい。これは片付けないと。
と思ったその時、妻が起きて来た。
「夢でも見たんだろう」が通じるだろうか…。
「ありがとね、眠ったらだいぶスッキリした」「あれ?ネコは?」
「ぇ?」
「ネコ、どうしたの?」
「いや、、あれ、、あれは、、」
と、その時。
物置部屋から出てきたオレの猫がするりとリビングに入ってきて、ぽんとソファーに飛び乗り、赤ん坊の寝ていた毛布のベッドに上がった。そして足でフミフミと均した後でくるりと丸まったのだ。
「何なのこの女!」と妻が怒るかと思って肝を冷やしたオレだったが、妻は猫に向かって
「ニャー?一晩でこんなに元気になったのね」と言うのだ。
「おまえ、、これが猫に見えるのか?」
「何言ってんのよ? 猫以外の何に見えるのよ、あんた、疲れてんじゃないの?」
ああ神様。
妻は戻った。
こっちの世界に戻って来たんだ。
良かった、良かったよ、、、。
妻が振り向いて「ねぇ、このコにまだ名前つけてなかったよね。名前、何にする?」と楽しそうに言った。
ねこのこ モリナガ チヨコ @furari-b
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