54. 『赤い鬼の子。』
そう。
楽しい事を見つけるのは良いことだ。
そんな目的があれば生きていける。
生きる意味を見失わずに済む。
生きたいと思える理由を
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「なっ!」
自分でも驚くほどの速さが出た。
一瞬で酒呑童子の背後に移動出来るほどの速さを。
しかも相手に驚かれるくらい速く。
「右腕」
そう言いながら左腕を肩から斬り落とす。
「ただ自分は右腕って言っただけだよ? 左手で守ろうとするなんて斬ってくれって言ってるような物じゃん」
「吹っ切れた....のか? それとも壊れたか」
「壊れてない! 自分は正常だ。問題ない」
「そうかいっ!」
なんだろう。
酒呑童子の動きがゆっくりと遅く見える。
いや、実際に遅いのか。
「膝」
刀の柄の部分で酒呑童子の膝を砕いて動けなくさせる。
「さっきの続きを話そう。自分は楽しい事を見付けたって言ったよね? んふふ、何だと思う?」
「貴様っ!」
「わかんないよね? わかるわけないよね? 正解はね、鬼を殺すこと。殺して殺して殺しまくる事が自分の楽しい事だよ」
「何故....」
酒呑童子のその先の言葉を聞くことはなかった。
首が斬れて死んでいるのだから。
「あーあ。返り血で真っ赤になっちゃった。ん? 鬼さんみーつけたっ」
その言葉と同時に鬼の首が宙へと飛ぶ。
「楽しい、楽しい!」
頬を伝っているのが鬼の返り血なのか涙なのかわからない。
「楽しい! 楽しい!」
鬼を見つけては斬る。
また見つけては斬る。
それの繰り返し。
※
誰かが言った。
「“赤い鬼の子”がいる」と。
赤黒く変色した血を身に纏った鬼を殺す存在。
鬼をその身に宿して産まれた『忌み子』。
その鬼の力を使いこなす『鬼の子』。
そんな存在は....『忌み子』は産まれてこなくなった。
そして『鬼の子』は『赤い鬼の子』だけとなった。
赤い鬼の子。 ホタル。 @h0__taru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます