ジョニーです。

@kennsei

ジョニーはリア充を憎んでいる(笑)

 …………聞こえますか………………?


 ……わたしです……ジョニーです…………

 …あなたの…脳に……直接……話しかけています………


 ………な…なんちゃってぇ…………





 ………ジョニーです!


 ……ジョニーです!!


 …ジョニーです!!!


 ジョニ―――――ですっっっっ!!!!!


 初めまして皆さん。ジョニーです。

 作者のペット、下僕従者召使い魔法使い。下僕はシモベと呼んでもらってもゲボクと読んでいただいても構いません。一つ違う? ふふ聞こえませんね。

 私は作者の家に昨年の秋頃から住み着いている妖精。名をばジョニーとぞなん言いける。

 全長六十センチの薄緑色の肢体、ぱっちりした目に尖った鼻、そんでもって変な帽子をかぶったよくわからん生物です。一応人間ベースということだけはわかるでしょうか。

 魔法使いの名をほしいままにしているのはこのカラフルな帽子と言っても過言ではありません。やわらかいとんがり帽子の先っちょには、毛玉のようなモフモフが付いていて気持ちが良いです。白い毛だけでなく、ところどころにピンク色の毛も混じっているのがお気に入りですね。さらにこの帽子の布地に描かれた渦巻くような模様も中々カオスな雰囲気を醸し出していて……はっ。

 失礼しました。話題がそれましたね。

 私ジョニーは作者のペット。番犬、召使いにして、最高のパートナー。

 恋愛をこよなく愛し、リア充をどこまでも憎み、作者の思い(笑)そして世界中のもてない男子たちの思いを代弁する存在。もはや神。

 そして私の趣味とするところは世にはびこるリア充どもの生態を観察し邪魔し大声で喚き散らすこと。自分でこんなことを言っていてはどうしようもないですね。ダメ人間の極致です。あ、私は人間ではないのでした。きゃははっ。

 今はちょうど作者も出かけていて、私の邪魔をする人間は一人もいません。私の独壇場が完成しています。


 ……と、いうことで。

 私はにやりと笑います。手の指とかパキパキ鳴らしています。

 ジョニーのジョニーによるジョニーのための愛の喜劇(ラブコメと読め)実況、はぁーじめていきましょう!ヒャッハー!暴れていくぜえっ!!


 ☆彡 ☆彡 ☆彡


「……俺たちも、もう付き合い始めて半年だな」


  【ジョニー(以下、J)】

  燦燦と太陽の光がさっぱりと冷たい空気を貫いて降り注ぐ小春日和な空の下、

  学校からの帰り道を二人並んで歩きながら、彼氏さんは思い出したように呟き

  ます。

  十一月初頭の肌寒い冷気は恋人同士が手をつなぐとちょうどいいくらいの塩梅

  です。ちょっとうらやましい。寒い。

  私ジョニーは名もなき彼氏さん彼女さんの二十メートルほど後ろをそろそろと

  ついていきます。

  ポニーテールをぴよぴよ揺らし彼氏さんの横顔を見つめる彼女さんのその横顔

  がたまりませんね。背の高い彼氏さん的には常時上目遣い光線を浴びせられて

  いるにも等しいと考えると……

  彼氏さん視点の映像をください(切実)

  私ジョニー、こう見えても♂ですのでついつい彼女さんの方に視線が吸い寄せ

  られてしまいます。けしからんですね。まったく…なんかその……ポニーテー

  ルが揺れるたびにあらわになる

  ……彼女さんの日焼けしてないうなじとか……もーぅけしからん!

  フンッ(鼻息) 文句ならそんな設定を考えた作者にどうぞ。

  二人は制服デートの最中のようですね。制服が同じだから、同じ学校なので

  しょう。彼氏さんの身長から考えて、おそらく二人は高校生だと推測。

  なぜ制服デートという言葉を選ぶのかといえば、私ジョニーがそういうことを

  した経験がないからではなく、…………ぷっくくく、あの、作者がですね……

  あうあう…。

  ろれつが回らず盛大に舌を噛んでしまいました。こんなことではいけませんね。

  つまり、作者にはデートの経験が……あう。

  またしても舌を噛んでしまう私でした。

  なぜでしょう、上手く言葉が出てきませんね。寝ている間に作者に呪いでもか

  けられたんでしょうか。まさかさっき飲んだコーヒーに毒が!?

  まあいいでしょう。先に進みます。


「時間がたつのは速いね。特に楽しい時間は、すぐに過ぎて行っちゃうもんなあ」

 彼女さんは答えます。


  楽しい時間、という部分がやけに強調されて聞こえるのは私の気のせいでしょ

  うか。これがもし作者だったら、あれもしかしてこいつ、俺のこと好きなん

  じゃね?とかなっている場面です。そのまま告白しちゃったらどうしましょ

  う。丁重にお断りされて終わりです。お疲れ。

  ぞっ、と背筋に寒気が走ったのは私の気のせいのはずです。うん気のせいだ。

  絶対気のせいだ。


 二人はどちらからともなく手をつなぎました。いつの間にか歩く速度、歩幅、出す足まで同じになっています。


  左右対称にはなっていないので二人三脚は無理そうですね。はい、次のニュー

  スです。私は自分の両の手をつないで握りしめます。バキゴキ、と凄まじい音

  が鳴りました。ゴキからとっさにG様を連想したのは私だけではないでしょ

  う。何言ってんの。

  許すまじ。両方がしたいと思ってたとか最高すぎだろ。どんな奇跡だよ。

  ああ……彼氏さんの感じているであろうあの手の柔らかさを、作者にも分けて

  あげたい……。

  私は遠い空の彼方を見つめます。雲一つない澄み切った冬の青空に、作者の穏

  やかな笑顔が写っているようです。

  まるで遺影のようです。イエーイ。ところで今日は冷えますね。


 二人が歩いていくと、道沿いに小さな公園が見えてきました。

 二人は顔を見合わせたかと思うと「ちょっと休んでいこうか」「そうだね」となんでもないような会話をしながらその公園に入っていきました。きっとベンチで休むのでしょう。


  どうやらあの彼氏彼女は、少しでも長く一緒にいたいがために、わざと遠回り

  の道を選んでいたようです。

  お互い、気持ちが通じ合っているのですかね。これがハッピーライフというもの

  か。ハッピーホームか。そうかタマホームか。

  そんなことを考えている私が、微笑ましげにベンチに腰掛ける二人に送る視線

  は、まさに氷点下。

  おーおーやってますなこのリア充が!!!公衆の面前で何するつもりだ!?ま

  さか……うわあ!恥ずかしい!

  何が恥ずかしいって、作者がこれから始まる光景を見てしまったら、ですよ。

  こっちも二人してあの彼氏彼女を覗きながら、「な、なんか、緊張するね」と

  か言い出しますよあの男!気持ち悪いったらありゃしない!何ということでしょ

  う、私ジョニー、だんだん自分がおばさんに見えてきたではありませんか。


「俺さ、将来は」


  出ましたよ将来の話!そしたらあれだ。幸せにするから、俺についてきてくれと

  か言い出すんだろ?ああなんて昭和…。


「佳代。一緒に東京に行かないか?」


  本当に来たぞこの展開が。※ここまでの経緯はガン無視しております。

  ちなみにここ東京じゃないらしいぞ。

  勇気ある彼氏さんの発言に素で感心する私でした。どこぞのバンドマンみた

  い(ほめてない)

  さあどうなんだ?YESか、NOか、半分か?


「……桐島くん」


  苗字呼び!?

  待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って

  か、か、カップルというのは、お互いがお互いを、名前で呼び合うものじゃな

  いのか?カレカノ歴半年の実績はどうした。

  ここ一年で培ってきた恋人の定義が早くも崩れそう。

  ちなみに私ジョニーは恋愛経験など皆無。作者もまあそんなもんです。超ウケ

  る。

  背筋にまとわりつく悪寒が、先程より強くなってきたように思います。敵が、い

  やさ作者が、近づいてきているということでしょうか?

  私はぎぎぎ、ロボットのごとく首を動かして後ろを見ます。

  ……いましたよ。作者さんが。


「……私は、あなたにずっとついていく」


  ぎゃあああああああああ………………。わ、私ジョニーはっ、目から紅の光を放

  つ作者に、首根っこを掴まれ、持ち上げられ、うっうおっ、投げ飛ばさ、あれえ

  ええええぇぇぇぇぇぇぇぇ………。


  【作者(以下、S)】

  ジョニーは空の彼方へバイキンマンさながらに飛んでいき、きらん、と光っ

  た。光源はどこだよ。

  ここからしばらく作者がお送りします。


「ありがとう」

 彼氏は感謝を込めて言う。これまでの半年間、そしてこれからの月日も、ずっと君と過ごせるんだ。新しい土地での生活は、不安なこともあるだろう。しかしそれは同時に、希望の始まりでもあるのだ。

 ひし、と二人は抱き合う。もう二度と離したくない。


  とでも思ってるんだろう。

  いいですね。

  見ているだけで心が温まります。

  それになんというか……ドキドキするね。嫉妬で。

  『心が温まる』≒『獄炎が俺の心を包み込む』

  ドキドキというより、ギリギリするね!歯が。削れちゃうよ、というよりむしろ

  研がれてるレベル。

  今にも草むらから飛び出して二人を噛み殺しちゃいそうだ。そう、脱兎のごとく

  駆け出して、ハイエナのように貪り食い、彼氏という名のライオンに返り討ちに

  される。これにて食物連鎖終了。平和な世界が訪れる。……俺が死んだだけじゃ

  ね?

  食い気味に、くっついて離れない二人を汚いものを見るような眼で凝視してい

  る、作者こと俺であった。


「「……」」二人は無言で抱きしめあっている。


  なんっっっっっっも動きがない。何してんのあいつら。

  愛を確かめ合っている。

  ……そうですか。

  そしてこの状況。俺が草葉の陰から二人の青春を見守っている、そんなシチュエ

  ーション。……俺いつから死んでた?

  リア充見守り隊で一生を終えるなんてそんなの嫌だぜ俺は。お母さんじゃないん

  だから。ついでにお父さんでもない。

  仮に今この瞬間に隕石衝突とかで地球が滅亡しても、俺は怨霊となって存在し続

  けるだろう。

  一人で行く(逝く)なんて嫌だよお。

  もしかしたら、地球の中枢が破壊されて爆発したら俺だけかろうじて生き延びち

  ゃうかもしれない。その後部下に助けられ改造されパワーアップするも、男物の

  パンツみたいなやつに滅多切りにされるかもしれない。名前の通り本当に寒々し

  い運命だ。フリーザ様ぁ……。

  ところでまだ動かないの?


 不意に彼氏がぴったりとくっついていた彼女をぐいっと引っぺがした。彼女はぽけっと彼氏を見つめる。

 安心感のある大きな両手が彼女の華奢な肩に添えられている。


  ……これは、何か言ってまたくっつくパターンでしょ。分かってますよ。


「愛してる」彼氏の渾身の一言である。……なんか心に沸き上がるものが


  ぶちィッ

  俺の中で何かが切れ


  さくしゃ は しょうき を うしなった !



  【復活のJ】

  ひっひぇぇえええええええええ!!!

  ジョジョジョジョニーです!いつの間にか帰ってきていたジョニーです!傷一つ

  ないジョニーです!

  実況変わりましたジョニーです!怒り心頭の作者の描写も入れていきます!

 「手 前 ェ 等 ァァァァァァァァァァァ!!!!」

  作者は絶叫に近い姿勢で、額に血管を浮き上がらせて禍々しいオーラを放ってい

  ます。こ、怖い怖い怖い。

 「馬鹿がッ!ドストレート決めてんじゃねえぞこの野郎!」

 「何が"愛してる"だ!ツキガキレイデスネだろうが!風流心をわきまえろ!君のよ

  うな、ことを早く進めたいからって羽目を外すようなガキは大っ嫌いだよ!」

  羽目を外しているのはあなたですよ作者さん。


「私も愛してるよ」

 そう言うと、リア充さん二人は激怒の作者ガン無視で口移しのような行為を恥じめました。


  わざと伝わりにくいような表現をしています。お許しください。それと誤変換は

  故意と悪意によるものです。どうかお許しください。ジョニーですジョニーです

  ジョニーです……。

 「絶対に許さない。……俺の、銀の弾丸(シルバー・ブレッドと読め)を受けてみろよ。お前らの息の根を止めてやるぜ……」

  作者はその拳に収まりきらないサイズの石を手の平で弄んでいます。さすがに危

  ないですってば作者さん。そんなの頭に当たったら本当に息の根止まっちゃいま

  すって。ちなみにもし外れたら作者の息の根が止められることになりそうです

  が。リア充は強し。

  作者は手の上で転がしていた石をぐっと握りしめて、笑いました。額の青筋はそ

  のまんまです。

  一見爽やかな笑顔のように見えますが、目が笑ってません。まさに外道。

  私は公園の垣根を飛び越えて(私のジャンプ力をナメてもらっては困ります。何

  せ人間じゃないんで☆)作者のもとへ走ります。

  ふと気になって、私はそこで彼氏彼女をふと、見ました。


 彼らがしていたのはただのキスではありませんでした。そう、あれ。もっと深いやつ。ディープな方でした。

 何かもぐもぐしてました。気持ちよさそうでした。


  ぶぢィッ

  あ、今私の中で何かが切れゴルァァァァァアアアアアアアアアアア!!!!


  じょにー は しょうき を うしなった !


  【前原(以下、M)】

  作者、ジョニー共々正気を失いましたので、ここからは、自動書記(CV:初登場

  の前原)でお送りします。

  正気を失った作者、大きく振りかぶって、恨みに満ちた第一球を、ラブラブな二

  人に、投げた。

  おおっと、それより早くジョニーが、近くにあった石ころをひっつかんで彼氏彼

  女に投げつけていた!

  何という変わり身の早さ。二人がかりで殺しにいっている。本来ならジョニーさ

  んがここで、作者渾身のストレートを見事受け止めるはずだったのに。キャッチ

  ャーまで投球し始めるとか、ジョニーさん、戦力外通告ものですよ。

  絶賛☆青春謳歌中のお二人は迫りくる魔の手(飛んでくる岩石)に気づかない!し

  かも二か所から!危なーーーい!

  ゴオオオ……!

  どこからともなく、強い風が吹きました。ちょうどいいこと限りなし、これぞ神

  風。モンゴル軍も退却する勢い。

  それは、作者とジョニーの放った岩石の軌道を捻じ曲げて――――

  どぱァンッ!!

  キス中の二人の頭上で、石同士がぶつかり、爆音とともに砕け散りました。……

  へっ……汚ねぇ花火、です。

  今の絶対当たってただろなんでだよちゃんと見てくれよ、と作者及びジョニーは

  抗議しています。誰に。


「な、何だ!?」

「うう……痛い」

 石の破片が当たったのか、彼女さんは泣き出してしまいました。


  それを見てにやりとする作者&ジョニー。くっ、このサイコパス。これがお前ら

  のやり方か。

  彼氏さんにひどい傷でも負わされて、彼らの愛の深さを思い知るがいいさ。


「大丈夫か?どこが痛い?」

「ううん、たいしたことない。心配しないで」

 無意識に傷を掻いて「痛っ」と声を漏らす彼女さん。

「無理しなくていい」

 ふわっ、と彼女さんを引き寄せる彼氏さんでした。

 ありがとう、と囁き声がかすかに聞こえたような気がします……。


  ふたり の なか が ふかまった !


  今日一、温かいハグを見ました。こういうシーン大好き。

  それはともかく、犯人への怒りよりも彼女の傷を優先するとは、彼氏さん。男の

  中の漢。

  それに引き換えこいつらは……。

  公園の草むらと出入り口付近に一つずつ、人と思しき骸が転がっています。片方

  は緑色、しかも全長六十センチほどですのでどこからどう見ても大きなぬいぐる

  みです。

  怒りと罪悪感で燃え尽きたようですね。私は尊死しそうでしたが。

  ……。私は冷えた視線を二体の骸に送り、ふっと息を吐きます。

  あとでこっぴどく叱ってやることにしましょう。

  とりあえずこいつらを家まで持って帰ります。冷えは体に良くありませんから。

  リア充さん二人はまたもぐもぐしてますね。

  それでは、今日のところはこの辺で。またお会いしましょう。

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