第13話
「大丈夫?」
「ええ、まぁ…」
夜になった。
記憶は戻らなかったけど、ハルヒさんはご満悦の様子で帰っていった。
…明日もありそうだな。
「……あっ」
思い出した。
まだ言ってない、記憶を思い出すかも知れない奴。
「?」
「…えーっと、一樹君はさ、超能力とか信じる?」
「あのテレパシーとかですか?」
「んー…もっと違う奴」
「いえ…」
いや、待て待て。
なんでテレパシーしってんの?
…そこら辺は覚えてる…のか?
もしくは、テレビで見たとか。
「ハルヒさんがストレスを感じると出る奴。閉鎖空間…だっけ?そこでしか扱えないっていう――」
遮った。
なんかジェスチャーで遮られた。
「…ごめん」
「いえ……」
……………………………………………。
気まずい!!
翌日。
毎度のごとく集合した俺達だったのだが、肝心のハルヒが見当たらん。
「何処いきやがったあいつ……?」
「集めたの団長なのにね」
「というか、もう皆が集合している前提で来ているんですね…」
「はい…」
携帯から電話を掛ける。
"着信拒否"
「………マジかよ」
なんでだよ。
ピロン♪
そのとき、全員のスマホが鳴った。
「「「「???」」」」
LINEを確認する。
『本日自主休業 団長より』
あいつめ…………。
心配するだけだっての。
ここには宇宙人と未来人がいるってのに。
超能力者は一時的にいねーけどさ。
古泉のやつは連絡なかったけど、こっちにはあるからまだいい…のか?
「すみません、先に失礼させていただきます」
てことで、先に古泉が帰り、そのあと朝比奈さんとあいつが帰り、ここには俺と長門だけが残った。
「……長門」
「なに」
「大丈夫か?また12月みたいにならんよう努めるからさ」
「いい。あれはこっちの責任」
いや、違う。
こっちの責任でもあるんだぜ、長門。
「ただいまー」
誰もいない部屋はシーンとしている。
独りだからね。そりゃね。
「…………」
考える。
昨日のこと。
なぜ遮られたか。
「………あっ」
甦る。
中学一年生の記憶。
一樹君は記憶喪失ってことは、超能力も忘れてる。
中学一年生と同じ状況。
あのときと同じ状況。
思い出す、あの言葉。
私が説明を受けたときの、あの言葉。
『あのままだったら、僕の頭がおかしくなったと思い、自殺していたかも知れませんよ』
同じ状況。
「これ、まずくないか?」
走る。一樹君の家に向けて。
涼宮ハルヒの新人 しお松 @siori1027
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