Exploit

秋山楓

Exploit

例の銀河が衝突して、この星の核を持ち去ってしまって―きみの想像するどの核でも支障はないのだが、とにかく―持ち去ってしまって、私たちはまたひとつ、高速輸送の鍵を手に入れたらしい。

ただ、わたしには分からない。いくら核が消滅したからといって、この惑星に大穴を掘って、距離2rの恩恵を享受するよりも、惑星の表面に―あくまでこれは"比喩"だが―表面に張り付いて、πrの距離を甘受するほうが良いのではないか。


「惑星の重力を使えば、より効率的な輸送が実現されるに違いない」―コウシキケンカイ


こんな疑問を表立って言い出せば、間違いなく反逆者扱いだ。なにしろ私たちの種族は、あの日を境に―私たちの属する銀河がMi*****daになったときに―すっかり変わってしまったのだから。私たちの精神はある種の進化を―後ろに進むことを進化とは表現しない。だから恐らく前への進化を―"体験"した。

それがどんな種類のものだとしても、「危機意識」は国家的なプロジェクトを求めるものだ。これはあくまで一般論だが。

しかし、膨張した恒星を尻目に穴を掘り続けるのは、明らかに非「効率的」だ。彼らの言葉を借りるとするなら。


「なに書いてるの?」

「日記」

「三日坊主さんだね、きっと」


*****************


「なに書いてるの?」

「日記」

「そうだね、きっと」


そもそも惑星の中心に穴を掘ることができた時点で、この計画の失敗は明らかだった。万有引力にどうやって逆らったのか? この構想は破綻していないか?


簡潔に言おう。例の輸送手段は、動力を失って存在意義を消滅させた。要は、動かなかったのだ。


私たちは、あれほど嘲笑っていたジンルイ―何千年か前にチキュウなる惑星を完全にexploit搾取して自滅した―ジンルイの、その二の舞を演じたらしいのだ。


(私たちは基本的なことを忘れていた―万有引力は質量が無ければ働かない、ということを。)


惑星に大穴を掘り、その質量のほぼ全てを失わせた以上―重力資源をexploit搾取した以上―この惑星には―私たちには―何が***********―******―****************―>>???

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Exploit 秋山楓 @KaedeAkiyama

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