Exploit
秋山楓
Exploit
例の銀河が衝突して、この星の核を持ち去ってしまって―きみの想像するどの核でも支障はないのだが、とにかく―持ち去ってしまって、私たちはまたひとつ、高速輸送の鍵を手に入れたらしい。
ただ、わたしには分からない。いくら核が消滅したからといって、この惑星に大穴を掘って、距離2rの恩恵を享受するよりも、惑星の表面に―あくまでこれは"比喩"だが―表面に張り付いて、πrの距離を甘受するほうが良いのではないか。
「惑星の重力を使えば、より効率的な輸送が実現されるに違いない」―コウシキケンカイ
こんな疑問を表立って言い出せば、間違いなく反逆者扱いだ。なにしろ私たちの種族は、あの日を境に―私たちの属する銀河がMi*****daになったときに―すっかり変わってしまったのだから。私たちの精神はある種の進化を―後ろに進むことを進化とは表現しない。だから恐らく前への進化を―"体験"した。
それがどんな種類のものだとしても、「危機意識」は国家的なプロジェクトを求めるものだ。これはあくまで一般論だが。
しかし、膨張した恒星を尻目に穴を掘り続けるのは、明らかに非「効率的」だ。彼らの言葉を借りるとするなら。
「なに書いてるの?」
「日記」
「三日坊主さんだね、きっと」
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「なに書いてるの?」
「日記」
「そうだね、きっと」
そもそも惑星の中心に穴を掘ることができた時点で、この計画の失敗は明らかだった。万有引力にどうやって逆らったのか? この構想は破綻していないか?
簡潔に言おう。例の輸送手段は、動力を失って存在意義を消滅させた。要は、動かなかったのだ。
私たちは、あれほど嘲笑っていたジンルイ―何千年か前にチキュウなる惑星を完全に
(私たちは基本的なことを忘れていた―万有引力は質量が無ければ働かない、ということを。)
惑星に大穴を掘り、その質量のほぼ全てを失わせた以上―重力資源を
Exploit 秋山楓 @KaedeAkiyama
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