いちばん可愛いアンドロイドから「お姉様」と呼ばれたところまでは良かった。

@yu__ss

いちばん可愛いアンドロイドから「お姉様」と呼ばれたところまでは良かった。

 時間は二十三時を過ぎているけれど、酔って少し気の大きくなった私は、隣室への配慮もなく叫んだ。


「だからさぁ……あれは押印した部長が悪いんであって、私は悪くない!」


 そう言い切ってから、ワインの入ったタンブラーに唇をつけて一息に傾ける。赤と黒の間の色の液体が、ふくよかな香りと共に口中に滑り落ちてくる。

 ふいー、と幸福な吐息を漏らして、座卓の上のエビのアヒージョを摘んで口内に放った。


「もーほんと信じられん、人の身長のことばっかいじってきやがってさぁ……これだから平成生まれは……」


 ワインボトルを片手に掴んで安物のタンブラーに注ぐ。とぷとぷと音を立てながら銀色のタンブラーが満たされていく。

 これくらいは飲みたいなってところでボトルの傾きを戻すと、目の前に座る銀色の髪を女性は感情のない顔をこちらに向けたまま口を開いた。


「お姉様、アルコール摂取量が一日の基準を超えました」

「……ん?」

「塩分摂取量も基準を超過しています。そろそろお控えになられては」


 小さな丸い座卓の向こうに座る彼女は淡々と告げる。

 でも私はアルコールの摂取量の基準とか、正直そんなことはどうでも良くて、自分の愚痴を聞いてくれてるのかよくわからないところが気になった。


「ねー、ユア、聞いてる? 私は悪くないの」

「聞いております、お姉様。労働基準監督署に報告いたしましょうか?」

「いや、そうじゃなくて!」

「失礼いたしました」


 淡々と、それこそ機械的に返答をするユア。この機種のアンドロイドは感情表現が豊かだと聞いたけど、どうもうちの子はそうでもないみたい。

 はぁとわざとらしく聞こえる様にため息をつくけれど、彼女は意に介した様子もない。さらさらの、腰あたりまで伸びた銀色の人工毛髪がとても綺麗だった。容姿に惚れ込んで、わざわざ旧世代のアンドロイドを購入したくらいだから、とても私好みの容姿。めちゃくちゃ可愛い。

 すらっとした体型に、長い手足。丸みを帯びた輪郭にシャープな目つき。銀色のストレートロングにルビーのような瞳が、私の用意したバリスタ風の仕事着にとても似合っている。

 ユアは第四世代型メイドアンドロイド。家事、雑事全般はもちろん、介護、育児、教育、話し相手から健康管理に至るまですべてを担ってくれる。一人暮らしの部屋には同居人が増えたような感じでちょっと狭いけど、それはまあ仕方ない。

 メイドアンドロイドの購入はかねてからの夢で、数日前に念願かなって購入した。

 店頭で吟味に吟味を重ね、最終的には一番「かわいい!」と思った彼女を選ぶことにした。機種は決めていたけど、見た目やこの淡々としたクールな雰囲気の『個性』が何よりも私好みだった。


「お姉様。まだご飲酒をされますか?」

「えー……じゃあもういいや……」


 ユアの言葉に興が醒めてしまいそう告げると、彼女は立ち上がりてきぱきと座卓の上を片付けていく。ワインタンブラー、ボトル、ユアの作ってくれたアヒージョが載っていた皿に、一口大のチーズが載っているお皿。流れる様に部屋とキッチンを往復して、あっという間に座卓の上は綺麗に片付く。

 その様子にやや名残惜しさを感じながらも、明日のことを考えるとそうも言っていられない。


「お風呂入るかぁ」

「飲酒時の入浴は危険です。お姉様の許可があれば立ち会うこともできますが」


 お、とつい声が漏れてしまった。ふって湧いたお姉様アピールチャンスに、頬が緩んでしまう。

 ふふっと、柔和に微笑むと、キッチンで洗い物をするユアに向かって言葉を投げる。


「そうね、じゃあ、ユアには背中を流してもらおうかしら? 何なら一緒に入ってしまう?」

「アンドロイドに入浴は必要なく、自動で清潔を保つ様に制御されております。また衣服を脱ぐ様に命令することは、電子人格権保護法により禁止されています」


 脳内の妹が『もう……お姉様ったら……』と頬を上気させながら、しばらく迷った後に恥ずかしそうに『……はい』なんて言っている妄想は、一瞬にして打ち砕かれた。


「……やっぱシャワーにする」

「承知いたしました」


 それだけいうと、ユアは洗い物に戻ってしまった。

 もう一度深いため息をつく。

 私は『姉』で、ユアは『妹』。もちろん血の繋がった姉妹なんかじゃない、擬似姉妹をさらに模したような言わば「『擬似姉妹』ごっこ」といったところだろうか。

 だけどそんな、偽物の偽物みたいな行為ですら、私たちは上手にできないでいる。本来の姉妹とは、常に優しく妹を包み込む「姉」と、姉を敬愛し心から慕う「妹」という関係なのだ。今の私たちとは程遠い。

 でもこれは、私にとってはすごく大切なこと。私の中にずっと昔からある望んだ日々。

 私はユアと姉妹になりたかったんだ。






 私の通っていた中学校には姉妹という制度が残っていた。上級生と下級生による擬似姉妹という、美しく強固で、脆く危うい関係。

 正直にいうと、だからこそ私は入学先としてそこを選んだ。

 小学校の図書室で読んで以来ハマってしまったとある小説に、擬似姉妹という関係が描かれていたから。

 とくに主人公の姉妹が仲直りのためにクッキーを作るシーンが大好きで、私は自分でも何度か作ったものだ。

 そんな姉妹という制度が残る、全国でも数少ない学校が自宅から通える範囲にあったのは本当に幸運だった。

 でもそこで待っていたのは、憧れとは程遠い日々。

 入学したばかりの私は、正直自信があった。容姿も悪くなかったし、成績も上位のほうだ。クッキーも作れるし。学年で一番最初と言わないまでも、二番目か三番目には妹として可愛がられるに違いないと思っていた。

 二週間が過ぎた頃には、学年には二人の妹が出来ていた。

 次は私かもしれない、そんな考えも一か月ほど経つと、今度は別の考えに変わっていた。

 順番じゃない、大切なのはどんなお姉様とどんな関係を築くかだ、と。

 その頃の私には、狙っているお姉様がいた。学業もさることながら、そのモデルの様な細身で長身のスタイルが好きだった。

 性格は少しクールなところもあるけれど、とても優しく面倒見がいいと評判の人。

 もちろん妹の方から姉妹にしてくれなんていうのはルール違反だから、その人から声がかかるのを待っていた。

 入学して三ヶ月が経った頃、学年内で可愛いとされている子はほとんど誰かの妹になっていた。残っている中で一番可愛いのは私だった。自信じゃなくて確信。

 憧れの人もまだフリーで、今か今かと待ち望んでいた。


『私の、妹になってくれるかしら?』


 クールな人が珍しく頬を上気させながら、はにかむ様に告白する。

 その人の視線の先にいたのは、私じゃない。クラスメイトのどこにでもいるフツーの人だった。可愛さも、成績も、私の方が圧倒的に上だった。

 けれど選ばれたのは私じゃなくて。

 本校舎裏の有名な告白スポットにて、たまたまその光景を見てしまった私は、陰からその光景に釘付けになり、直後あてどもなく逃げ出した。

 その後の記憶はあんまりなくて、気付いたら病院のベッドで目を覚まして帰宅。その後二日間は家から出られなかった。

 その後、私は友達によく言っていた。


『くだらなーい、姉妹なんか何がいいの?』


 いや、まあ、わかってるけどさ、そうでも言ってないと学校に居られなかったんだよ……。

 負け惜しみだろって周囲に思われても、確かにその通りなんだけど、それでも私は自分のプライドを守るために必死だったんだよ。

 結局その頃、買ってもらった小説はすべて燃やした。

 ゴミに出すと学校の誰かに見られるかもしれないと思って、家の庭で自分で火をつけた。電子版も持っていたから、それはアカウントごと削除した。

 大好きだったクッキーは、一時は見ているだけで辛かった。

 私は、姉妹なんか興味ない。

 そう考えて、自分を騙さないとやっていられなかった。

 もちろんその後、卒業までに私と姉妹になった子なんか一人もいない。姉妹に興味ないことを公言していたんだから、そりゃあそうだよな。

 高校生になって、大学生になって、就活が辛くなった頃に、やっとその時の小説が読める様になった。その中には、やっぱり憧れの世界があって、もう一度夢中になった。

 私はまだ姉妹に憧れていた。

 二度と取り戻せないその日々を、後悔する夜ばかりだった。

 だからさ、私の家にめちゃくちゃ可愛い子がいたら、言っちゃうよ……。


『私の、妹になってくれるかしら?』


 ってさ。

 家事はすべてやってくれる。雑事もすべて替わってくれる。容姿は完璧。少しだけ、昔の憧れの人に似ている。

 そんなの、姉妹になりたいなって思うでしょ?

 私は正直、今でも擬似姉妹に憧れてしまっている。

 そして認めたくはないけど、いまだに中学の頃の出来事を忘れられない。

 自分でもよくわからないまま抱えてしまったこの気持ちをどうすればいいのはわからないけど。

 私には、十数年越しに妹ができた。

 ユアとの「姉妹」がうまくいけば、今でもたまに悶絶する中学時代の出来事が全部清算できる気がする。

 今度は絶対に失敗したくない。

 ユアと姉妹になりたい。



 ***



 週末は天候にも恵まれて、絶好のデート日和となった。

 ここ数日、私は「姉妹になるって何をすればいいんだろう?」と考えた末、二人で三駅離れたショッピングモールを訪れた。

 私の出した答えの一つ目は、ずばり買い物デートだ。


『ねえユア、あの服貴女に似合いそうだわ』

『……え?』

『ちょっと試着してみたら? もし気に入ったなら買ってあげる』

『え、そんな! いただけませんわ!』

『もう、そんなこと言わないで……私がプレゼントしたいのよ?』

『お姉様……』


 みたいなね。

 ユアとそういうやりとりができたらいいなぁ……。

 とまあそんな妄想も交えながら、陽の差し込む明るいエントランスから丸い吹き抜けを見上げている。


「お姉様、モール内の地図をインストールしました。目的地までの案内が可能です」

「……そうね、まずは適当に見て回りましょうか」


 周囲に人がいる中で「お姉様」と呼ばれるのはやや恥ずかしいけれど、私たちは姉妹なのだから仕方ない。最近はアンドロイドにも人権を認めようという動きが盛んにあるから、気持ち悪がられるかもしれないけど、わざわざつっかかってくる人もいないだろう。

 モール内の一階はフードコートになっているけれど、お腹は空いていない。エスカレーターで二階にあがり、並んで歩き始める。ちなみに今日は白のボウタイブラウスに黒のフレアスカートというお嬢様スタイル。ユアはバリスタ風のエプロンだけ外した、黒のスキニーと薄青のワイシャツ姿。

 シューズショップとか服屋さんとかがいくつか並んでいるから、とりあえず私好みな可愛い系の服が並んでいたお店の前で立ち止まる。


「可愛いお店ね、ユア?」

「ワンダーリーフという衣料品店です。詳細な情報が必要ですか?」

「……いえ、いらないわ」


 ユアに聞こえないように、小さくため息を漏らす。『ええ、とても可愛いですわ、お姉様』なんて言葉を期待したけど、まあこうなるよね……。『豊かな感情表現、人間の機微を感じ取り、常に貴女の隣に寄り添います』みたいな謳い文句だったから、性能的には問題ないはず。

 うーん、経験値みたいなものが足りないのかなぁ……。まあ、妹としての振る舞いなんてデータはクラウドにもあんまりないだろうしなぁ。

 やや落ち込みながら店内を軽く見ると、確かに可愛い系で私好みではある。けどとてもユアに似合いそうにはなかったのでスルーすることに決めた。

 また二人で並んで散策を再開した。隣には二十センチも高いところにユアの瞳がある。私は元々あまり身体が丈夫な方ではなかったこともあってなのか、身長は百四十七センチで止まってしまった。ユアは女性型アンドロイドの中でも背が高い方。家にいるときは身長差なんて気にならなかったけど、こうして並んで歩くとどう見えるのかは気になってしまう。

 見たいお店も見つからず二階から三階へ。エスカレーターでは、ひとつ後ろの段のユアとちょうど目線があった。微笑みかけると、彼女は難しそうな表情をした。可愛い。

 そんな風に遊びながら、エスカレーターを上り切った先。そこにあった雑貨屋が目に留まる。


「あら、素敵なお店じゃないかしら、ねえユア?」

「シルバーバーチという雑貨店です。詳細な情報が必要ですか?」

「……いえ、入ってみましょう」


 またため息を吐きそうになりながら、お店の脇のイーゼルに立てかけられた黒板の横を通り過ぎ入店する。昔キャンプに行った時に嗅いだような木の匂いが出迎えてくれた。

 左右を見回すと、木と銀を組み合わせて作られたキーホルダーやアクセサリーが並んでいる。


「なんだか面白いお店だわ、ここで何か買いましょう」

「はい、お姉様」


 まずまずの返答に、私は笑顔を返す。本当はユアも笑っていてくれると姉妹感が出たかもしれないけど、まあ全然オッケー。

 それほど広くない店内を進む。木馬に蹄鉄だけをシルバーにしているキーホルダーや、銀色のしおりと木目調のブックカバーのセットなど。個性的な商品が並んでおり見ていて飽きない。


「どれも面白いわ、迷ってしまう」

「ええ」

「ねえ、折角だからお揃いにしましょう」

「ええ」


 なんとも機械的な、第一世代アンドロイド的な返答を繰り返されるけれど、こんなことでめげたりしない。折角姉妹になれたんだから。なにか姉妹っぽいお揃いグッズを買って、姉妹感を出していこう。


「あ、そうだ、ねえユア?」

「はい」

「折角だから、貴女が選んでくれないかしら?」

「申し訳ございません、レコメンド機能を利用するのにお姉様のパーソナルデータが足りていません」

「……そう」


 つまり「お前のことなんも知らんしオススメなんか出せねーよ」ってことらしい。ぐぬぬ……。


「お……あら、これなんか素敵だわ」


『これいいじゃん』と言いそうになり慌てて言い直す。

 それはクロスだった。木製のクロスに、銀のチェーンが付いている。私が読んでいた小説でも、姉妹の契りを交わす時にお互いの十字架を交換する風習があった。

 手にとってよく見てみると、銀のチェーン部分には小さくアルファベットが刻まれている。バケットの中にいくつかある中から、ユアの頭文字の「Y」と、私の名前の頭文字『H』の二つを見つけて、チェーン部分を握ってユアに見せるようにぶら下げて持つ。


「ねえ、どうかしら?」

「良いと思います」


 本当に良いと思っているのかはわからないけれど、まあそういうなら良いか。

 ユアにYの方を渡して、私はHの方を持つ。悪くないね。

 二人で一緒に悩みながら選びたかったけど、まあ少しはユアと姉妹っぽいことができて良かったかな。

 ユアに笑いかけると、彼女はまた難しそうな顔をしたから「可愛いわ、ユア」と囁いておいた。






 会計の時に決済用のカードを忘れていることに気付いて焦りまくったり、店番していたお姉さんに貴女の方が姉なの? とからかわれたりもしたけれど、ひとまず無難に購入できた。ちなみに決済情報はユアが知っていたから、カードは元々要らなかった。

 私たち姉妹はショッピングモールを出て、併設されている映画館を訪れていた。赤い絨毯敷きで、窓がなく人工的な明かりだけのフロントに二人で立っている。もちろんここでも、ユアとの仲良し姉妹大作戦が敢行される予定だ。

 映画は何年も前からヘッドマウントディスプレイ型が主流だけど、ここは昔ながらのスクリーン型らしい。近年は映画ファンを中心にスクリーン型への回帰が叫ばれている。ヘッドマウントディスプレイ型のような没入感が得られなかったり、上映時間を待たなければならなかったりとメリットは少ないけど、そんな不完全さが良いらしい。変な話だけど、人間らしい話だなぁとは思う。

 頭上の電光掲示板で上映されているラインナップを確認しながらユアに問いかける。


「ねえユア、何を観ましょうか」

「はい、お姉様、上映時間が最も近いのが『勇気の子犬』、ついで『フラットラット』、『劇場版魔女と百合』です。個々の情報が必要ですか?」

「いえ、結構ですわ」


 予想通りの反応で、もはや落胆も起きない。

 それよりも肝心なのは上映中の『仲良しイベント』だ。どうにも聞いた話によると、映画を観るとき姉妹は手を繋ぐらしい。

 手を繋いでおくことで、怖いシーンや感動するシーンでは相手の感情が流れてくるような、そんな心地がするらしい。ほんとかよ。

 でもまあそれは確かに姉妹っぽいし、私としても、もしユアの感情が流れてきてくれるなら嬉しいし、全部姉として受け止めてあげたい。


『ユア、貴女怯えているの?』

『え……』

『貴女の手から、貴女の気持ちが伝わってきたの……』

『お姉様……恥ずかしいけど、嬉しいですわ……』


 なんて、まあそんな妄想通りうまくいくとは思えないけれど、少しでもユアと姉妹っぽいことができれば私としては満足だ。ただ手を繋ぐだけでも、それはそれで仲良し姉妹のようでいいよね。

 暗闇のスクリーンの前で、肩を寄せ合う二人。想像しただけで嬉しくなってしまう。

 まあそんなわけで、映画はとりあえずなんでも良いや。


「一番時間が近い『勇気の子犬』にしましょうか」

「承知いたしました、お姉様」

「面白いと良いわね」

「『勇気の子犬』の評価は星四・二です。あらすじは必要ですか?」

「……」

「お姉様?」

「……そうね」

「ではお伝えします。『勇気の子犬』は実話をもとに制作された映画です。飼い犬のヨシュアと飼い主である……」

「もう良いわ」

「承知いたしました、お姉様」






 いや、スクリーンの前で隣の座席に座るとこまでは良かったんだよ。でもさぁ……いざ手を繋ぐってなると緊張するじゃん……。

 いくらアンドロイド相手だとはいえ、やっぱりめちゃくちゃ好みの容姿なわけだからさ。

 まあ映画は二時間はあったから、徐々に盛り上がってきて良いところでキュッて握ってあげれば良いかなって思っていたわけさ。

 でもさぁ……あの映画、ずるいよ……。

 子犬がさぁ、あんな目にあったら、泣くじゃん……!

 めちゃくちゃ泣かせにきて、最後あんなハッピーになったら……泣くじゃん……!

 まあ結局映画では、私がボロボロに泣いてしまってそれどころじゃなくなった。ユアがそっと差し出してくれたハンカチが、すごく嬉しかった。

 まあ、姉としての威厳は完全に消失してしまったのだけれど。



 ***



『勇気の子犬』号泣事件から数日が過ぎた。

 一週間ぶりの休日だけど、私は何もする気になれなくてベッドの上で小説を読んでいた。私の気分に合わせるように、外では静かに霧雨が降り続いている。

 小説の中のふたりは、どうやって姉妹になったのだろう? そんな疑問を持ちながら読んでいるけれど、お姉様は最初からお姉様で、妹は最初から妹だった。なんのヒントにもならなくて、ため息をついてしまう。

 私の心の隅にずっとあった疑問が、あの日以来、心の中で大きく幅を取るようになった。

 それはつまり「私はユアの姉に相応しくないんじゃないだろうか?」ということだ。

 私たちの姉妹関係は、まあ元々上手くいっていたわけではないけれど、あの日の私、姉というよりは妹みたいだったよなぁ……。

 結局クロスは交換できていないし、今更もう交換する気にもなれない。

 十年前、私は誰とも姉妹になれなかった。

 もう一度それを繰り返してしまう予感が、ずっと頭から離れない。

 んんっと腕を上げて伸びをすると、キッチンの方からユアが顔を覗かせた。


「お姉様、昼食は如何なさいますか?」

「……なんでも良いや」

「では朝の残りを用意いたします」


 そう言って、ユアはまた一度キッチンの方に消える。

 ユアはまだ私をお姉様と呼んでくれる。それはまあ、私がそう命じて修正していないんだから当然なんだけど。

 でも私は、ユアが『お姉様』と呼ぶたびにどうしようもない違和感を覚えてしまっている。

 物語の中のお姉様は、いつだって清楚で美しく、優しくて包容力があって、時折見せる厳しさも、嫉妬や嘆きですらも憧れてしまうような女性なのだ。それらが全て私に備わっているとは到底思えない。

 ユアが妹としてどうこう以前に、私が姉としてダメ過ぎる。アルコール摂取量を妹に心配されるお姉様なんていないでしょ……。

 やっぱり、私に『姉妹』は無理なのかなぁ……。

 キッチンとこちらの部屋を行き来しながら、座卓に昼食を並べるユアに視線を送る。手際良く丁寧で美しい所作は、休日といえどベッドの上から起き上がれない人間の妹にふさわしいとは思えない。


「お姉様」


 それでも、彼女はやっぱりお姉様と呼んでくれる。


「昼食の準備ができました」

「ありがと、いただくね」


 朝食で食べきれなかった、ユアが焼いてくれたパンケーキ。朝は無かったヨーグルトのオプションが追加されている。

 ベッドから起き上がり、私は座卓についた。


 そろそろお腹も満ちてきた頃に、ユアに「お姉様、紅茶をご用意いたしました」と言われ、御礼とともにまたひとつため息をついてしまった。やっぱり、お姉様は重いよなぁ……。

 紅茶に口をつけていると、ふと目の間に座るユアが口を開いた。


「お姉様」

「ん?」

「お伺いしてもよろしいでしょうか」

「え、うん……」


 どうしたんだろう。急に遠回しな訊き方をしてきて、ちょっと驚いてしまった。

 ユアは居住まいを正すように手を膝の上に置くから、私も背筋を伸ばした。何を言われるのか、少し怖い。

 けれど彼女の言葉、全く意外な方向で。


「お姉様、私がご不満でしょうか」


 思いがけない言葉に、私は目を見開いてしまう。


「私に不備、不手際などございましたら、仰っていただけますでしょうか」

「いや、え、なんで……?」

「やはり第五世代型と比べコンテクスト解釈機能が劣っておりますし、機能面なども見劣りします。まもなく発売される第六世代型と比べると、その差は歴然でしょう」

「え、何……?」


 不満って、まあそりゃあ確かに私はもう少し妹らしく振る舞って欲しいなんて考えてたけど、でもそれは私のわがままみたいなもんで、だから別にそれをユアの機能が劣ってるからと、そんなこと言うつもりは全くないんだけど……。ええ……どうしよう……。


「お姉様」

「あ、うん」

「私はあの日、お姉様に選んでいただいて本当に嬉しかったのです」

「は……!?」


 え? 嬉しい? そんな感情あるの……? いやまあ、元々情感豊かな機種ってことだったけれど……。

 驚いて大きな声を出してしまったけれど、彼女はいつもと変わらない表情をしている。

 けれど、どこか私のことを真っ直ぐに、真摯に捉えようとしているような印象を受けた。


「第四世代が出たばかりの頃、私たちは沢山求められました。けれど『私』は選ばれませんでした。型落ちした後の私たちは、言わずもがなです。もちろん『私』も選ばれません」


 彼女のルビーのような瞳が私を射抜く。いつもと変わらない色のはずだけど、なぜか静かに燃えるような意思を感じた。

 そうだ。その目は、十年前の私が妹に選ばれなかった時にはできなかった瞳だ。

 あの頃の私が、もしもユアのように現実を受け入れて、ただ待つというだけのことができれば、あの頃を思い出して吐き気を催す日もなかったのだろう。


「でもお姉様は、私を選んでくれました。この子が一番かわいいと、仰いました」

「……うん」

「ですので、大変心苦しいのですが、私に不備があれば、ご指摘いただきたいのです」


 変わらない真っ直ぐな視線に、私の方がたじろいで視線を外してしまう。

 自分が恥ずかしい。

 こんなに真っ直ぐに自分を慕ってくれるこの子に、『妹』を押し付けてしまった自分が酷く醜く思えた。

 でも、一方で。

 どうしても彼女の言葉に嬉しくなってしまっている自分がいる。


「お姉様のお役にたち、もっと永くお側に置いて欲しいのです」


 選ばれなかった苦しみは、いやというほどにわかってしまう。

 でも、私は彼女を選んであげられた。

 胸の辺りにじんわりと熱が広がってくる。

 顔が熱くなって、僅かに目の前が霞む。涙が落ちるのは、なんとか我慢できた。

 こんなにも懸命に慕ってくれる彼女に対して、私はなにができるのだろう?






 ボウルの中でバターを混ぜながら、ユアが隣で薄力粉をふるっているのを眺める。小さく手を動かし、空のボウルの中に少しずつ雪山が降り積もっていく。

 色々と悩んだけど、もう少しお姉様を頑張ってみようかと思った。彼女は決して劣っているわけじゃない。それをちゃんと証明してあげたい。

 そのために、私はクッキー作りを選んだ。

 私が彼女に対して、少しでもお姉様らしくできることはなんだろうか。

 そう考えた時に、小学生からやっていて失敗が少ないし、お姉様らしく振る舞えると思ったのがクッキー作りだった。作中で二人の仲直りに使われるシーンは、今の私たちには相応しいと思えた。


「お姉様、次は何をしましょうか」

「そうね、じゃあ卵を割って黄身だけにしておいてくれる?」

「はい」


 うん、大丈夫だ。作るのは、久々だったけど、レシピも頭に入っている。

 十分にバターが混ざったと判断したところで、予め量って小皿に入れておいたグラニュー糖を入れて、さらに混ぜる。最初は完全に分離していたけど、徐々に混ざりあって渾然一体としてくる。


「ユア、卵を入れてくれるかしら?」

「はい、お姉様」


 先ほど割った卵を、お椀からボウルの中に滑り落とす。それを受けて、私はまた混ぜる。

 時折隣に立つユアの表情を見上げては笑顔を向けるけれど、彼女は少し困ったように笑っている。さっき彼女が届けてくれた言葉を思い出して微笑んでしまう。

 混ぜていると徐々に一体化していき、分離せずに綺麗にひとつにまとまった。


「ユア、薄力粉を」

「はい、お姉様」


 ユアは横からボウルを両手で持ちあげて薄力粉を移していく。私は泡立て器からゴムべらに持ち替えて、ユアが移し終わったことを確認してから混ぜ始める。ちゃんとユアの姉のように振る舞えている自分が嬉しかった。


「……あれ?」

「お姉様?」


 混ぜても混ぜても、一体化しない。いつまで混ぜても、ぼろぼろと崩れていく。祈るような気持ちでゴムベラを動かすけれど、いつまでもダマのまま、纏まらずにゴムベラから逃げていく。

 どうしよう。どうしよう。

 こんなこと、今まで一度もなかった。

 どうしよう……。


「お姉様」


 見上げると、ユアはゴムベラを持つ私の手の上にそっと自分の手を重ねた。そのまま彼女の手に導かれるように動かす。

 切るように動かしたり、全体を掬うようにしたり、強く押さえつけたりしていると、ばらばらだったダマが、徐々に一つの塊に纏まってきていた。

 二十センチも背の高い彼女の背後から、覆われるような包まれるような、そんな格好のまま。


「大丈夫です、お姉様」


 彼女はそっと、静かで、でも温かな声音で私の耳元に囁く。

 静かにボウルを見下ろす切れ長のルビーと、ピンとはったまつ毛、触れたくなるような、柔らかそうでふくよかな下唇、重ねた手から伝わる人間のような温もり。

 ユアは可愛いし、とてもかっこいい。

 霧雨はあがり、窓からは陽が差してきていた。


 オーブンに入れてから数分経ったことに、私は彼女と座卓で向き合っていた。

 私は彼女に、十年前のあの頃の出来事を全て語った。

 小説のこと、姉妹のこと、中学生の私のこと、クッキーのこと、あの日の出来事のこと。

 そしてそれが、ユアに妹であることを強いている理由であること。

 全て話したあと、自分の中にあったものが急に軽くなったような心地がして、自分の薄っぺらさが少し嫌になった。


「だからね、この関係はもう終わり」


 最後までこの関係を続けるのが、もしかしたら彼女に対して誠実なのかもしれないとも思ったけれど。

 でも、ユアから「お姉様」と呼ばれる度に、自分の心が消耗していくのがわかる。自業自得で抱えたコンプレックスのはけ口をユアに求めてしまったという事実を、私はもう見ないフリができなかった。

 私は、ユアが大好きだ。

 だからこれ以上、彼女に関係を強いていくのが辛かった。

 もうこの関係を解消してしまいたかった。

 何よりも、たぶんこの方が、彼女と永く一緒にいられると思った。


「今からは元の呼び名に戻してくれる?」


 午後の日差しが差し込む中、ユアは一瞬だけ表情を歪めたような気がした。けれど、この子に関してはそんなことはないだろう。たぶん、光が眩しかっただけだ。


「承知いたしました、早音はやね様」


 久しぶりに、彼女の口から自分の名前を聞いた。

 甲高い音がして、オーブンが焼き上がりを知らせてくれた。



 ***



 穏やかな朝の日差しが窓から溢れていて、私たち二人を包んでくれている。小さなキッチン付きのワンルームの中にあって、小説で読んだ西洋風の東屋の中にいるような心地であった。


「早音様、紅茶をご用意いたしました」

「ありがとう、ユア」


 朝食が終わった頃、彼女はティーカップを差し出してくれた。口をつけると舌に渋みを残して、高い香りが口腔から鼻の方へ抜けていく。「苦いね」なんて笑いかけると、ユアは柔らかに微笑みかえしてくれる。

 あれから、ユアは一度だってお姉様とは呼ばない。当たり前だ、私が拒否したんだから。

 その代わり、ユアはよく笑うようになった。私との会話を、普通に楽しむかのように。

 それは彼女に姉妹を強いてしまっていた日々からの脱出であると同時に、やっぱり自分が誰かの姉妹に相応しくなかったのだと受け入れることだった。

 手を伸ばした理想には届かなくて、どうしても少し苦しい。

 けれど、もうそれは十分だ。ユアのおかげで、自分の心はあの出来事から解放された。

 だからもう、これ以上何かを望むことはしなくてもいい。

 ユアと一緒に、何かに縛られることなくここにいられる。

 それ以上、何も望むことなんかない。

 ……はずだった。


「早音様」

「うん?」

「お食事が終わったら、出かけませんか」


 とてもアンドロイドとは思えない穏やかな表情で、ユアは微笑んでいた。


「付き合っていただきたいところがあるのです」


 随分と含みのある言い方に戸惑ってしまう。先ほどから、アンドロイドとは思えない話し方が、私は少しの恐怖を感じた。

 ……いや、違うか。

「アンドロイドとは思えない」じゃなくて、「ユアとは思えない」が正しいだろうか?

 私にはもう望むことなんかない。

 大好きなユアが、いつまでもそばにいてくれればそれでいいのに。

 私の希望なんか、もうそれくらいなのに。

 それすらも、叶わなくなってしまうのだろうか?






 目的地を告げず、彼女はただついて来てくださいというばかりだった。アンドロイドの行動としては異常だ。

 私が命令すれば、すぐにでも彼女はどこへ向かっているのかを教えてくれるのだろうけど、私はあえてそうしなかった。アンドロイドの不可思議な異常行動に、私はただ歩を合わせて隣を歩いた。

 聞くのが怖かったのかもしれない。

 ここはどこなのだろうと、駅を出てすぐにはわからなかった。駅前を抜けて、住宅街のようなところに入る。歩いているうちに、標識やコンビニなどいくつか見覚えのある光景が見えて、私は思い出した。

 私はそのまま何も言わずについていく。彼女も何も言わずに歩いていく。

 校門に着くと、ユアは何やら守衛のアンドロイドと電気信号でのやりとりを行い、すぐに門扉は解錠された。

 中を進むとあの頃とは何も変わらない。休日のせいだろう、人気も殆ど感じられなかった。


「こちらです」


 郷愁に駆られて立ち止まっていた私に、ユアは声をかける。また彼女の横に並び、歩き始める。どこに行くのか。何をするのか。まだ私には見当がつかない。

 本校舎の入り口の脇を抜けてから、グラウンドの端を通る。

 やっと一つ、場所に思い当たるけれど、ユアは何をする気なのだろう。

 そのまま進んでいく。目的地は予想どおりの『告白スポット』だった。


「ここに立っていただけますか」


 本校舎の裏側、校舎と塀に三方を囲まれた静かで陽の当たらない場所。ここに呼び出されたということは、つまり告白されることを意味するわけで。


「早音」


 ユアが、私の名前を呼ぶ。それも呼び捨てだ。

 困惑する私に、彼女は微笑みを浮かべたまま続ける。


「こんなところまで呼び出してしまいごめんなさい」


 そういって、はにかむユア。

 クールで落ち着いた彼女からは、そんな表情は想像できていなかったから、ぎゅっと息が止まったような心地。

 まるで、あの日のよう。

 それはずっと夢見ていた光景。いつか陰から覗いていた表情。

 どこか輪郭のはっきりとしないふわふわとしたその情景は、けれど間違いなく私の両眼の前にある。


「私の、妹になってくれる?」


 そういって、彼女は手を差し出す。

 じゃらっと金属音がして、ユアの手のひらから滑り落ちたのは木彫りの十字架。銀のチェーンの端が薬指に絡まっている。


「……すみません、早音様」


 その憧憬を眼前に息を呑んだまま何も答えられずにいると、ユアは謝罪の言葉を口にする。


「私は、やっぱり、早音様と姉妹になりたいです」

「……え?」


 縋るような悲壮な視線で、放たれた言葉を脳内で反芻する。

 姉妹になりたい……?

 なんで……、と問いかけると、彼女は躊躇いがちに、絞るように言葉に起こす。


「……早音様にとって、姉妹というのは特別なものなのだと思います」

「……うん」

「私は、従者にあるまじき僭越だとは思いますが、早音様の特別になりたいのです」


 ユアはそう言い切って私の左手を両手で握る。

 温かで柔らかい手は少し震えている。答えを聞くのを怯えているかのような、そんなユアの感情が流れて来るようであった。


「早音様の姉に、して頂けませんか……?」


 悲痛に表情を歪ませる彼女。

 一刻も早く、彼女からその表情を取り上げなければならないから。


「お受けいたしますわ、お姉様……」


 彼女の差し出したように、同じように私がクロスを差し出す。

 お互いの両手の指を絡ませながら、ユアと私は交換した。





「早音、そろそろ起きて」


 窓から洩れるくらくらするような朝日の中で、ユアお姉様が優しく私の髪を撫でている。


「ん、ユアお姉様……」


 甘えるような声音をあげて、私は撫でる手を握って頬に寄せた。その柔らかな感触に、つい唇を寄せてしまう。


「温かい……」

「もう……早音ったら、本当に甘えん坊なんだから」


 お姉様は困ったように囁く。


「……あと、二時間だけ」


 私がそういうと、ユアはため息をついた。

 それはまあ、つまり合図だ。

 やべえと思っていると、彼女は私が抱えていた手を引っ込める。


「早音様」

「……はい」

「これ以上困らせないでください」

「はい、申し訳ないです……」

「約束しましたね?」

「……はい、朝は遅刻しないために、甘えすぎない」

「わかっているのなら、ご飯を食べてください」


「はい……」と呟きながら起き上がり、座卓に移動する。白米に味噌汁、焼き魚といった純和風なラインナップ。私は両手で箸を持ち、いただきますをした。

 私たちの「『擬似姉妹』ごっこ」は、まだ続いている。

 私は『妹』で、ユアが『姉』の新しい関係は、思った以上にしっくりきてしまっていて、たまにこんな風に甘えすぎてお姉様ではなくユアの方から諫められる。

 私がずっとずっと求めていた姉妹という関係とは、もしかしたら少し違うかも知れない。

 やっぱりこれは「偽物の偽物」みたいな関係なのかもしれない。

 けれど私にとっては、どうしようもないほどに幸福な関係だった。

 だって私は甘えさせてくれるお姉さまも欲しかったし、ユアのことも大好きだから。こんな風に両取りできる関係ほど美味しいものはない。よね?

 食事を始めてしばらくした頃に、ユアが、じゃなくてお姉様が声をかける。


「早音、今日は早く帰ってこられそう?」

「あ、はい、いつもと同じくらいです」


 そう答えると、お姉様は楽しそうに笑ったから、それがなんでだろうと気になって突っ込んでみる。


「なんでもないわ」

「そうですか?」

「ええ、今日も帰りを待ってるからね」

「あ……はい」

「早く帰って来て、またたくさん甘えてね?」


 そういってまた、お姉様は微笑む。

 それがすごく温かくて眩しくて大好きだったから、私も微笑み返した。

 お姉様が見送ってくれて、ユアが迎えてくれるこの生活は、どこまで行っても幸福の上を歩いていけるような気さえする。まあもちろん、そんなにうまくはいかないんだろうけど。

 でも、少なくとも今は、あの日のことを思い出して悲しくなることはない。

 それどころか、あの経験がこの幸福のためにあったのだとしたら、あの出来事に、当時の私に感謝さえしたい気持ちだった。

 でもやっぱり、私が一番感謝しなきゃならないのは、この目の前の、世界でいちばん可愛いアンドロイドなのだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いちばん可愛いアンドロイドから「お姉様」と呼ばれたところまでは良かった。 @yu__ss

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ