第4話 迷宮④


 僕は君が去った日からまるで迷宮を彷徨っているようでした。

 その迷宮は洞窟のようなゴツゴツした岩でできているものではありません。それは何か人の精神が作り出した混濁した意識の壁で出来た迷宮でした。その迷宮を僕は彷徨っているようでした。

 ジョゼ、君は僕の未来を見通していたのだろうか。

 僕は君が消えた日から君への親愛なる気持ちが少しずつ失われてゆき、変わってマルケに対して火のついたような、いえ、燃え盛る炎のような熱くそして心に手をそって置くと魂まで暖かくなるような気持ちが芽生えてきたのです。

 いえ、芽生えてきたという表現では足りないかもしれません。

 打ち寄せる砂浜に置いた足を洗う波が突如大きくなり一気に僕の全身を大きな海の中に落としたのです。

 僕はそれが恋だと知りました。

 そしてその恋の海底に眠る静かな静寂のような男女の愛を見つけたのです。

 恋を知り、愛を見つけた喜びと消え去った親愛なる友人へ友情を忘れ去ろうとする自分の儚い愚かさが精神の壁になって、僕を大きな迷宮を歩かせたのです。

 ジョゼ、君は一体どこへ行ったのだろう。

 僕の魂がマルケに対する愛で溢れる前に、君への友情で一杯に満たしたいと願っています。

 そうすればマルケへの愛と君への友情とで僕はずっと永遠に生きていくことができるだろうから。

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Mīnōtauros(ミノタウロス) 日南田 ウヲ @hinatauwo

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