天使降臨

「あのランゼンを倒したっ!?」


「ば、ばけものだ!」


猛将ランゼンの死に目撃した帝都民は混乱し殺戮の恐怖に立たされた。

中には家へ帰り田舎へ行く準備を終えてきたものもいるがなんせ関門に少女がいるのだ。通れない。


「も、もういけっ、化け物っ!」


検閲官も怯えルミナスを放り出す。


「?化け物なんていないじゃない。まあいいや!ハンブルク王国軍第一砦はぁ、あそこかぁ!」


荒れた荒野の真ん中に位置するハンブルク王国の絶対防衛線。ハンブルク王国軍第一砦は剥き出しの磐の砦だ。


「すいませぇーん!志願兵なんですけどー!」


ルミナスが声を上げると中から年は25くらいの女性がでてきた。


「志願兵?あなたが?」


「ええっ!わたしは、志願兵のルミナス・ドゥ・ルーナ!よろしく!あなたは?」


「あなたって・・・はぁ。わたしはセレメナ・ランゼンダーツ少佐。」


「そうでしたか!しつれぇいたしました!」


「しつれぇじゃなくて失礼でしょう!?」


「は、はぁ。」


「それにね、ここはそんな甘くないのよ。」


「・・・じゃあさぁーあたしとそっちのお偉いさんが勝負して、あたしが勝ったらあたしにこの砦の指揮権を与える、負けたら私は村へ帰る。これでどうかしら。」


「・・・相談してきます。」


セレメナは金色の髪を揺らして砦へ入る。

そしてほどなくしてでてきた。


「よろしいそうです。・・・お相手なさるのはレザンド・ドノアバーグ少将、こちらの最高責任者です。」


「レザンドだ。」


「ルミナスだよ。じゃあっ」


ルミナスは地を蹴り駆け巡る。幾度となく戦場を駆け抜けてきたレザンドでさえ受け流すのも精一杯な剣術。そしてそこに織り込まれる魔術、体術。どれをとっても一流の人材だ。

レザンドの死角へ入っては打ち、入っては打つ。

そして、・・・


「勝ったぁ!」


レザンドの喉元に剣先を突きつけた。


「こーさんしますーぅ」



「命が惜しい。降参だ。」


ルミナスは銀に輝く髪を揺らしてからだ一杯に喜んでいる。


「じゃあルミナス・ドゥ・ルーナくん。君は今日からルミナス中将だ。いいな。」


そう吐き捨てるとレザンドは砦へ入った。

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王国軍の天使は帝国軍の化け物 雪月華@33331111 @33331111

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