受験を控えた女子高生の前に現れたのは、カワウソ。しかも喋るし、「それ以上ウソをつくとカワウソになるよ」と警告までしてくる。むしろカワウソになるんならご褒美じゃん、可愛いじゃん……と思うのはダメ人間ということで、こちらの主人公は殺虫剤で退治しようとしますが。
嘘をつくことが日常化している主人公とそれを阻止しようとするカワウソ。
受験や親子関係、恋なんかも絡んできて、精神的に追い詰められていく彼女ですが、ほっこりとカワウソが寄り添い、助言します。
コメディかと思いきや、ハートフルな展開にほろりとくる、素敵な物語です。
予想外のラストには、じーんっと感動しました。
ちょっとした冗談。
悪意の無いお遊び。
だって、みんな笑ってるよ。
生活に潤いを。
アヤが嘘をつくのは趣味のようなもの。
誰も傷つかないならいいじゃない。
さて。今日はどんな嘘をつこう。
そんなアヤの元に現れたのは、オレンジ色のカワウソ。
「君は嘘をつきすぎた。百八回嘘をついたらカワウソになっちゃうよ。あと二回だね」
怪しいけれど、下らないと切り捨てるのはちょっと怖い。だって、カワウソが喋っているのだから。信じられないことだって起こるのかもしれない。
突然現れたカワウソの目的は?
アヤはカワウソになっちゃうの?
ちょっと胸が痛くて、それから温かい。
そんな物語でした。