第5話
昔 泣いた分だけ人は強くなれるって聞いた
そんなの信じたことない
だけど……
今だけは信じたい。
例え強がりだとしても………
ー後悔 5ー
あれからマコは一言も話し掛けてくれない
無言で歩き続ける2人
私の気持ちを表すように雨まで降ってきた
2人共 雨でずぶ濡れになりながら帰宅した
本当は こんな事になる前に…
マコに嫌われる前に家を出たかった
受け入れてもらえるなんて都合のイイこと考えてない
でもマコの家を出る前に全部 正直に打ち明けよう
「………マコ…『シャワーでも浴びて体温めて…ごめん………俺、疲れたから先に休むね………』………………」
きっとマコは私の言い訳なんて聞きたくない
むしろ私の顔も見たくないかな…
なのに…こんな時まで私の事を気にかけてくれてる
そんなマコに悲しい顔をさせたのは紛れもない…私なんだ…………
こんな事になって初めて気付いた
何気なく向けられてたマコの笑顔が寂しかった私の気持ちを埋めてくれてた事
そしてその笑顔を向けてくれてたマコが私にとって掛け替えのない存在になってた事
今頃 気付いても もう遅い
自分のバカさ加減に涙が止まらない
泣いても どうにもならないのに
マコにこれ以上、悲しい顔をさせたくない
きっと私が居るとマコに、また悲しい顔をさせてしまう
私はシャワーも浴びず部屋に戻り泣きながら荷物をまとめた
時計の針が深夜1時を指した頃
出てく準備が出来た
マコの部屋の前
たぶんマコは、あのまま眠って朝まで目を覚ますことはない
マコの部屋のドアを静かに開けた
起きた時に私が居なくても、もう何とも思ってくれないよね
「マコっ…………ありがとっ……バイ…バイ…………」
《DEAR…マコ
本当は直接 言って伝えたかったけど…それはもう叶わないって分かってるから手紙にしました。
マコと出会う前、誰にも必要とされてない私は人から必要とされてたくて、自分の身体と引き換えに寂しさを埋めていました。
マコに出会った時もそうです。
何も聞かないでいてくれたマコの優しさに甘えたまま過ごしてたね…
何を言っても もうマコには届かないかもしれない、けど…マコと過ごした毎日の中で本当の優しさや人と向き合う事の大切さを知りました。
本当に ありがとう。
そして…ごめんなさい…
FROM…ミミ》
人は大切な存在が出来て初めて強くなれるし優しくもなれる
私にとって その存在がマコで良かった
ただマコにとって大切な存在が私じゃなかった
ただ それだけ………
置き手紙と私の思いを残し…
マコの幸せだけを心から願って家のドアを閉めた
ー完ー
後悔 宮乃森 戒音 @KAINEsan
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