恋人

テスト期間──いつもは憂鬱な数日間が、今回はそこまで苦痛でもなかった。


「やっと終わったー! 和明、テスト終わったし、これから遊びに行こうぜ?」


「あ、ごめん。今日は用事があるから、また今度ね」


友達に別れを告げ、生徒会室へと急いだ。

中に入れば、直が出迎えてくれて、側に置いていた鞄を持ってこちらにやってくる。


「テストお疲れ様。帰ろうか?」


「はい! あ、今日、うち親いないんで」


「え? あ、うん」


真っ赤になった顔を隠すように少し俯き気味になり、早足で廊下を駆け抜けていった。





和明の家に着いた途端、直の体を抱き締め、少々乱暴に唇を奪う。

今まで我慢していたのを取り戻すように、何度も何度も角度を変え、その感触を味わっていく。


「んぅっ…」


「ねぇ、先輩…僕さ…ほんとに先輩の体だけが欲しいわけじゃないよ? でも、やっぱこうして触れ合ってると、どうしようもなく抱きたくなる」


「そ、んなの…わかってる、よ。僕だって…同じ、だから。テスト期間中…ずっと我慢してた」


なんだ、お互いに同じ気持ちだったのか。

そう思うだけで、また愛しさが増していった──。


END

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