恋人

初めて体を重ねてから数日が過ぎた頃、放課後の生徒会室では以前にも増して仲良さげな直と和明の姿があった。

その突然の変わりように、生徒会の人達は少しばかり困惑していたが、しばらくすれば、それが当たり前に感じるようになっていた。


「先輩、今日俺ん家寄っていきませんか?」


「今日はダメ」


「え!? なんで?」


「明日からテストでしょ。赤点なんてことになったら生徒会にも来れないんだから、ちゃんと勉強してもらわないと困る」


「べ、勉強なら夜頑張るからさ、一回だけ!」


「和明くーん? そんなことばっか言ってると、体目当てって思われちゃうよ?」


書類に目をやりながら冗談っぽくそんなことを言うもんだから、和明はその書類を取り上げてやった。

突然のことに驚く直だったが、いつになく真剣な眼差しの和明を目の前には何も言えなくなる。


「それ、マジで言ってます? 僕は体だけじゃなくて、先輩の全部が好きなんですよ? だから、体が欲しくなる。これでも先輩の体に負担にならないようにって我慢してるんですよ?」


「ごめん…冗談が過ぎたよ。ちゃんと気持ち、わかってるから。それに、僕も一緒だよ。和明くんの全てが欲しくなる。でも、我慢する時は我慢しないと。テスト前はダメだよ」


「先輩…わかりました。じゃあ、テストが終わったら、思う存分抱いてもいいってことですよね?」


妙にウキウキしながら言う和明の言葉に、テストが終わったら体どうなるんだろう、と苦笑いを浮かべてしまう。


「あ、あの…手加減…してね?」


「それは先輩次第かな」


こんな会話が普通にできている分、今日も幸せだと思う。

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