直の告白







いつの間に眠っていたのか、目覚めた時には外はすっかり暗くなっていた。

虚ろな瞳で隣を見れば、自分を抱き締めたまま寝息を立てる和明の姿があり、間近で見る彼の整った顔に少しばかりドキリとする。


「ん…か、ずあき…くん…」


心臓がはち切れそうな程ドキドキ言っている。

火照る顔を冷やそうと思い、ベッドから抜け出そうとするが、少し起き上がったところで自分の腰をしっかりと抱き締める腕に気がついた。


「ん~…先輩?」


腕の中で動く直に気がついたのか、和明がゆっくりと目を覚ます。

眠そうに目をこすりながら、また直を腕の中へと収めた。


「和明くん、もう起きないと…」


「今何時?」


「もう夕方だよ?」


「あ~…学校、サボっちゃいましたね」


「ほんとだよ。僕、生徒会長なのに…」


生徒会のみんなに悪いことをしたな、と思いながらも、こうして和明と過ごすことができた喜びの方が大きくて、あとで謝ろう、とまた和明の胸に顔を寄せた。

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