第10話 対魔王戦 その2 土俵にたつ…?

「ぐっ、まだまだぁ」


「い、い、いいかげんに倒れろぉ~!」


「ま、まだまだぁ~」


「はぁ、はぁ、はぁ」



「ヒマね」


「ヒマだ」


「もう少し」


「がんばれ~」


パーティ仲間から飛ぶ、やる気の無い声援。


それに対して、魔王の方に飛ぶ声援!


「魔王さまラブ!きゃぁ~♪」


なぜか魔王と勇者は、土俵の上で相撲を取っている。


勝負を付けるなら、これだと言われたので、剣を置いたのだが…


勝負が付かん。


「は、早く、沈め!」


「ま、まだまだ沈まん」


「ぐぅ~、あ」


ちょっとした隙を疲れて、土がついてしまった。


「魔王さまに勝負あり!」


勇者の負けが決定した。


負けに打ちひしがれている間に、パーティー仲間が何かを聞いているようだが…。


「君らはどうする?」


「できれば、残ります」


「観光したいです」


「相撲に興味があります」


「魔王さまにサインをもらいたいです」


どうやら、勇者はパーティー解散の危機にあるようだが、それを自覚することなく、救護室へ運ばれていってしまった。


敗者であっても、放置することなく、きちんとした待遇をするのが、武士道(?)と言うもの。


最も、再戦には一番下から勝ち上がっていく必要があるのだが。



魔王討伐。


勇者の悲願。


それは、相撲に勝つことで成し遂げられるという、相手の土俵に立たされていたことを気がつくのは、一体いつのことになるのか…。

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みんな勇者になりたいか! 夜空のかけら @s-kakera

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