ルルエの夢
みももも
ルルエの夢
ああ、そうか。
だからこれは、ルルエの夢の世界だったんだ。
ルルエ? 誰それ
いや、ルルエってのは俺の、元の世界の幼馴染でな。
やんちゃで、無邪気で。
姿かたちも性格も、それこそお前にそっくりで……。
いや、俺の前世の話はどうでもいいな。
それよりもそのホースの話だが……
そっか。
ん? どうした?
そっか、私が、ルルエだったんだね。
・・・そんなわけ、ないだろ。
どうして?
だって私、そのルルエって子にそっくりだったんでしょ?
こっちの世界には、私だけがいなかったんでしょ? だったら私がルルエじゃん!
ばか。
どうしてここで出てくるのが、ばかなんて言葉なの。
ねえ、私がルルエなんでしょ。どうして今まで黙ってたのよ
ばか、ルルエは、死んだんだよ。
こっちに来て、ルルエにそっくりなお前がいて。
これは夢だとすぐに気がついた。
だけど
俺は前世でお前と別れた時、後悔して塞ぎ込んで世の中がどうでもよくなった。
塞ぎ込んで、部屋にこもって、笑うこともなくこともなくなった。
こっちに来てお前に出会って。ルルエによく似たお前にあって、贖罪ができると思った。
だけどお前とルルエは別人で、お前にルルエに記憶はなくて。
こっちの世界であった
だけど大丈夫だ。お前とルルエは別人だが、そんなお前に俺は救われてきた。
———
ねえ、今でもルルエに会いたい?
ばか、ルルエはここに、俺の目の前にすでにいるじゃねぇか
ねえ、私、ルルエできてる?
ばか、ルルエは死んだんだ。 お前がルルエをやる必要はないだろ。お前は自然に笑っていれば……
ねえ、ルルエに、会いたい?
……会いたいよ。 俺はルルエに会いたい。あってもう一度話をしたい。 あってもう一度、謝りたい。
ごめんって、俺のせいで、俺なんかのせいでお前を苦しめて。
俺がもうすこしお前に気を使っていたら。お前に気付けてやれたのに。
そしたらお前は死ななくても済んだかもしれないのに
俺のせいで、俺なんかのせいで
俺のことを恨んでいるのか
なあルルエ、教えてくれ。俺はお前にどう謝ったらいいんだ?
大丈夫だよ。わかってるよ。
大丈夫だよ。許してあげる。
大丈夫だよ。……ありがとう。
ルルエ!?
……な、わけないよな。
いつものお前の、タチの悪いいたずらだ。
……ごめん。やっぱり私はルルエじゃない。
だけどきっと、ルルエはあなたのことを恨んでなんていない。
ルルエと同じ運命を辿った私が言うのだから間違いない。
私に、死んだ時の記憶はないけれど。だけど恨んでいたならあなたに会うことがこんなにも楽しいはずがない!
あなたにあっているとき、私はいつも楽しくて楽しくて。
今この瞬間も、あなたのことを思うだけで心が苦しくて。嬉しさのあまりに息もできなくて。
あなたに喜んでほしい……違う。あなたに、感謝を伝えたくて。
どうしてだろう。嬉しいのに、悲しくなんてないのに、涙が止まらない。
……ハハッ、こっちのルルエは泣き虫だな。
あっちのルルエは決して人前では泣かなかったぞ。やっぱりお前はルルエじゃない。
泣いてるのは、そっちも同じじゃない。
ルルエの夢 みももも @mimomomo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます