これを差し上げるので婚約破棄して欲しいです

RARUTI

第1話 婚約破棄とは一体何でしょう

私には現在もお付き合いをしている人がございます。


お付き合いしている人とは仲が良くて楽しく過ごせていたのですが、

ここ最近はあんまり交流もなくて寂しいです。


その原因はきっと私にあるものだと考えているのだけれど、それは

恋愛をするのに疲れてのかと思います。


恋愛って意外とエネルギーを使うし、それに相手の事を考えて発言、行動を

しないといけないので大変でしょうがありません。


間違った発言や行動をすると相手に傷をつけて良くないと考えているのです。


私は心の傷というのを相手にはしたくないといつも感じていて、平気で相手に

そういう事が出来る人を見てしまうと嫌な気分になる。


だから私はお相手の人と婚約のお約束をしていたのですが、婚約破棄をしようと

考えていたのです。


ここまで頑張って来たので、もう十分じゃないかと思っていて私も疲れてて

一旦、独り身に戻りたい。


そして、今はお相手の人を呼び出していて私とお相手の人は公園の中に居ます。


私のお名前は鳶一綾香トビイチアヤカで年齢22歳です。

鳶一家のご令嬢です。


ご令嬢なのはいいですけれど、両親には婚約破棄する事を伝えておりません。


きっとお話をすれば反感を買うし、場合によっては家を追い出される可能性もある。


それでも私は婚約破棄したいと決めているのです。


お相手のお名前は日下部勝クサカベマサルで年齢30歳です。

日下部家の御曹司でございます。


「勝、わざわざ来てくださってありがとうございます」


「いやっ、気にしないでくれ」


「そのね、大事なお話がございまして」


「ああっ」


「言いづらいですが、婚約破棄したくて」


「こ、婚約破棄ってそれはないだろ」


「そうですよね、ごめんなさい」


「謝ってもらってもな」


「はい、そうですよね」


やっぱり、婚約破棄を認めさせるにはこれしかありませんね。


「すいませんが、ここで待ってて下さい」


「ああっ、わかった」


私は公園の中にある女子トイレへ行こうとしているのですが、

行く目的はただ一つです。


勝には私の穿いているパンツを差し上げようとしています。


そうする事によって婚約破棄を認めてくれると私は信じている。


女子トイレに着くと私は誰も居ない事を確認して衣服を脱いで

パンツを脱ぐと、衣服を着て脱いだパンツを手に持って女子トイレを

出て行きます。


私は勝が居る所へ戻ると

「お待たせしました」


「おかえり、綾香」


「えっとですね、これを差し上げるので婚約破棄を認めて下さい」


私はさっきまで穿いていたパンツを勝に差し上げる事で婚約破棄を

認めさせようとしている。


「これは綾香のパンツなのか?」


「はい、さっきまで穿いていたパンツでございます」


「パンツがほんのり温かいな」


「はい、それで婚約破棄を…………」


「パンツか…………まぁ、それは構わないがどうして婚約破棄を?」


「理由はですね、私自身が恋愛というのに疲れたからです」


「そういう事か、それなら仕方がないな」


「申し訳ございません」


「いやっ、謝らないでくれ」


「はい」


「この綾香のパンツはありがたくもらっておくよ」


「そうして下さい」


「そうだな、今までありがとうな」


「私の方こそ、今までお付き合い頂いた上に婚約のお約束までしていたのに

ごめんなさい、本当にごめんなさい」


「そんなに気にしないでほしい」


「はい、わかりました」


「それじゃあな」


「はい、お元気で」


私と勝のお付き合いはここで終わってしまうのでした。


結局、私の穿いていたパンツを差し上げた事によって婚約破棄が

成立したと言えるでしょう。


それにしてもさっきまでパンツを穿いていたので今は変な感じがします。


それはそうと両親には何て言えばいいのでしょうか。


覚悟を決めて私は家に戻るとなぜか玄関前に両親が立っているのを

見かけると私は急いで戻る事とします。


玄関前に到着した私は

「お母様、お父様、どうなされたのですか?」


「綾香、お前は婚約破棄したんだってな」


「それをどうして………………」


「さっきな、日下部勝からご連絡があったんだよ」


「そ、そうなんですね」


「なぜ婚約破棄をしたんだ、お前は」


「ごめんなさい、ごめんなさい」


「謝るなら婚約破棄をするんじゃない」


「はい」


私とお父様が会話をしているとお母様が

「もう過ぎた事ですし、その辺でいいじゃないですか」


「お前は黙っていろ!」


「妻に向かってそういう事を言うのですか」


「悪いな、強く言い過ぎた」


「はい」


お母様とお父様はお二人で会話をしている。


ここからだとよく聞こえないけど、きっと私の事でお話合いを

しているに違いありません。


しばらくするとお母様とお父様の会話が終わって、二人はこちらを向いて私にお母様が

「綾香、どうして婚約破棄なんてしたの? 教えて」


「それはですね、お付き合いするのが疲れてしまって」


「そうなのね、でも、一言くらいは相談して欲しかったわ」


「それはごめんなさい」


お父様は私にこう言ってくるのでした。


「綾香、よく頑張ったな」


「はい」


「綾香と日下部勝の二人で決めた事なら文句は言わないし、二人とも大人だしな」


「はい」


「これからどうするんだ?」


「それは…………まだ決めておりません」


「しばらく恋愛は控えるんだな」


「そうしようと思います」


私と両親の会話が終わると三人は家の中へ入る事にして私は急いで

自室へ行く事にしたのです。


自室に戻った私は急に目に涙を浮かべると泣き出してしまったのです。


「婚約破棄ってこんなにもつらいなんて知らなかった」


私は泣いて泣いて涙を流しているとお母様が私のお部屋に入ってきて

「綾香、大丈夫?」


私はまだ泣いているのですが、私はお母様に

「どうして婚約破棄ってこんなにつらいの、お母様」


「それは…………綾香にとって日下部勝という人がかけがえのない存在だったからでしょうね」


「うん………………」


「次はもっと素敵な人に出会えて幸せになれるといいわね」


「はい、お母様」


お母様は私の傍に歩み寄って近づくと私の事を抱きしめてくれたのです。


抱きしめてくれた事によって私は安心したのかは知りませんが、

泣いていたのが泣き止みました。


これから私はもう婚約破棄をしないと心の中で誓います。


こんな思いは二度としたくないし、それに生まれてきた以上は

幸せになりたいという

強い気持ちがあって必ず叶えてみせます。


必ず幸せになってみせます、お母様、お父様。

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これを差し上げるので婚約破棄して欲しいです RARUTI @takutaku2019

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