クイビなる動画サブスクリプションがありまして──。配信される動画や番組が、一本四~一〇分なのですよ。
このサービスの巧いポイントが何より時代に合っているということ。「一〇分くらいだったらまあ観てみようかな?」という気になるじゃないですか。時間を消費するコンテンツが身の周りに溢れているこの時代、「一本二時間の映画観るくらいだったら、ゲームやったり、Twitter見たり、積んでるマンガ片付けたいわ」と。
そう思ってしまうのが、大多数の現代人なのですよ。
この流れは当然小説投稿サイトにも波及しておるわけでして。だからこそ、本来であれば「ターゲットとしている読者層による」としか答えようのない、「一話何文字が(PVを伸ばすためには・スナック感覚で読んでもらうためには)適切なのか」問題に、大した根拠のない一応の解が示されてしまったりするのです。
そんな渦中でご紹介する「各話400字」にござい。
件の作品、笑いに既視感があるのですよ。
これは悪い意味などではなくて、たとえば「そういえば、昔こんなことで笑ったことあったっけ」とか、「幼い頃は何だかピンとこなかったけれど、もしかしたらあのとき両親はこんな理由で微笑んでいたのかもしれないな」とか。
押されるツボが、どこか懐かしいのです。
身に覚えのない、未知なる笑いのツボを刺激される感覚ではないのです。それゆえなのか、サクサク読み進めることができるにもかかわらず、この中を流れる時間は陽だまりのようにゆったりとしている。
「今日なに食べたい?」
だから、これは読者を選ばない。読む人みんなをほっこりさせてくれるげんきのかけら。