第7話 純粋なる子供たち
「腕をこうして」
「こう?」
「そうそう、次は足をここに入れて」
「うん」
「そしたら腰から担ぐように投げる!」
「せや!」
ダン!
「どうだ?簡単だろ?」
「うん!すごいお兄ちゃん!」
汐菜の家で今は子供たちに背負い投げのやり方を教えていた。
「そして、自分が投げられたときは受け身をとる。」
「おぉー!」
「でも、こういう技は簡単に使っちゃダメだよ。力を使うのは、大切なものを守るときだけだ。」
「おぉお!!」
「お兄ちゃんはお姉ちゃんのことが大切だから力を使ったんだね!」
「たぃせちゅ?」
「うっ、ま、まぁ、そういうことだ。」
「「「おぉ!流石恋人だね!」」」
「ちょっ!晴輝、私のこと大切なんて。」
「おっおい!汐菜!?」
嬉しいことに子供たちはあれから大盛り上がりで仲良くなっていた。その間で汐菜が色々と勘違いしていそうだが。
────────────────────
「何か悪いな、夕飯までご馳走になって。」
「いいのよ。子供たちも凄く楽しかったって、また来てほしいって言ってたし。」
空はもうとっくに暗くなり、駅の周辺も人通りが少なくなってきた時間帯。
今は汐菜と改札前で電車がくるまで話をしていたところだ。
ちなみに今日の夕飯のメインは唐揚げだったのだが、これまた絶品で、もうそこら辺のスーパーの唐揚げは食べれないなと内心感じてしまった。
「本当にいい子達だな。」
「でしょー!このままみんな素直に大きくなるといいんだけど。」
「いい姉がいるからだろうな。あの子達が真っ直ぐなのは。だから大丈夫だと思うぞ。」
「えっ!?」
「多分だけど、お前がいればあの子達は大丈夫だよ。」
今日一日しか見ていないけれど、それでも伝わってくるものは大きかった。汐菜への信頼というか、何と言うのか、彼女の凄さを見せられた気がする。
俺なんかより、ずっと彼女はすごかったのだ。
「そろそろ電車来ちゃうね。」
「そうだな。・・・じゃあ今日はありがとう。俺も楽しかったよ。」
「ううん。私の方こそいきなりでごめんね。」
「それじゃあ、また学校でな汐菜。」
「ほぇ!?今なんて!?」
ヤンキー処女と付き合うことになったら、いろいろと面倒なんだが!? MASAMUNE @masamune-sanada
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