第6話 いつから俺は旦那に!?
「ねぇ、今日学校が終わったら家に来ない?」
「・・・ん?」
昼休みが終わってからも、汐菜はきちんと授業を受け、そして放課後にはしっかりと俺を捕獲していた。
「なぁ、アルバイトはどうしたんだ?」
生活費のためにしていたのだから、どうなのだろうか。なかなか簡単には減らせるものではないだろう。
「あ~実は、シスターには黙ってやってたんだけど、今回のことで全部話したら、凄い怒られて、お金のことは気にするな!ってバイトも全部やめちゃった。」
あはは。と軽く笑いながら話す彼女に少し安心する。もういい進学先に進むことは難しいだろうが、それでもここから頑張ればそれなりの進路が開けるだろう。
いや、彼女の実力次第だけれど、もしかしたら約半年の間に大学の一般受験でいいところや、特待生制度とかで進学できるかもしれない。
「なぁ、バイトってどんなことしてたんだ?」
「えっ?」
電車を待つホームで退屈しのぎに聞いただけなのだが、想像以上の反応が反ってくる。
「晴輝から私のことをそんなに聞いてくるなんて思ってなかってから。」
「いや、話したくなければいいんだ。ただ、俺はアルバイトをしたことがないから気になってな。」
「...そっか。私は普通にコンビニとファミレスの2つを掛け持ちしてたよ。」
「なるほどな。掛け持ちか。大変そうだな。」
「まぁ結構大変だけど、ちょっとしたら慣れちゃったよ~。私のことだからいかがわしいバイトだと思った~?」
彼女は期待してた?みたいな変な顔で俺を見てくるが、
「そんなこと、こうしてお前を見ていたら想像すらつかない。」
そう言って俺はホームについた電車に乗り込んだ。
「ちょっ!待ってよ!」
────────────────────
「おぉ!?ここが教会。」
俺は汐菜たちのいる教会に来たのだが、正直なところ町の教会なのだから小さい見た目は普通の建物だと思っていたのだが、実際はインパクトのあるちゃんとした教会!って建物で、それなりの大きさがあった。
「どう?びっくりした?」
「あぁ。これには驚いたな。」
そこら辺の庭もあって広い一軒家6つ分以上は明らかにある敷地に、三階建てより少し高いくらいの建物は、しっかりとした教会としての存在感を放っていた。
「まぁ私たちが住んでいる家は少し行ったところだけどね。」
そう言って汐菜は先を歩き始めた。
────────────────────
「ただいまー!」
「お邪魔します。」
あの教会から2分ほど歩いた2階建ての一軒家が汐菜たちの住んでいる家だった。元気よく扉を開け早々に靴を脱ぐ彼女に押されながら、俺も上がる。
「あっ!姉ちゃんお帰りー!」
「あぁー!格好いいお兄ちゃん!」
最初に一階の奥の部屋から汐菜と一緒に家に来た二人が迎えてくれる。
格好いいお兄ちゃんか、いい響きだ。
「お姉ちゃんお帰り~!」
「お帰りー!」
「ぅ~、ねぇね、ぉかえり」
2階からも子供たちが出てくる。みんな汐菜によく懐いている。本当にいいお姉ちゃんなのだとすぐにわかるほどにだ。
「「「この人だぁれぇー?」」」
当然の反応を子供たちがする。
まぁ大好きなお姉ちゃんの隣に知らない男がいたらびびるわな。みんなが俺を警戒しているのがわかる。
俺ってそんなに怖い?
「このお兄ちゃんだよ!助けてくれたの!」
「このお兄ちゃんなんだよ!姉ちゃんの彼氏!」
おいっ!
「そーなんだー!」
「おー!僕にも戦いかた教えてー!」
「お姉ちゃんと結婚するのー!?」
「ねぇねのかれち?」
「もーやだなー!えへへ///。」
「何照れてんの!?まだ付き合ってないよね!?」
子供とは純粋なもので、先ほどまでの警戒はどこへやら、みんなが俺に飛び付いて興味津々と目を輝かせていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます