婚約破棄なんて聞いていません!聞こえない~聞こえない~
一ノ瀬 彩音
第1話 婚約破棄されてしまうという事実
初めまして、私には以前からお付き合いをしてて
将来は婚約するというお約束をしていたんですが、
相手から婚約破棄したいという事を聞いたんです。
しかし、私はそんな事を聞いていません。
そもそも私は相手に尽くしているのにどうして
婚約破棄されないといけないのでしょうか。
婚約破棄される事自体が間違っているのです。
私のお名前は
職業が教師をしております。
それでお相手のお名前が一ノ
年齢24歳です。
職業が某企業の社長をしております。
将来は婚約するという私の希望が拓也の婚約破棄によって
台無しになってしまうのです。
私は拓也からの婚約破棄なんて聞いていません。
そんな私は今、なぜか拓也の家に居るのです。
きっと拓也からお話があるから来てくれと言われて来たんでしょうね。
私と拓也はお互い向き合っててお話が出来るという状態です。
「拓也、婚約破棄なんて聞いてないからね」
「あのな、婚約破棄したいから」
「聞こえません~」
「どうしてそんなふうにするんだよ、婚約破棄をさせてくれよ」
「何を言ってるのかがわからないし、聞こえませんよ~」
「そういうふうに反応するという事は聞こえているだろ」
「聞こえません~聞こえません~」
「どうしたら婚約破棄させてくれるんだ」
「……………………」
私はとうとう黙る事にしたのです。
「鈴、聞いているのか、どうして黙る」
「……………………」
私はこのまま黙っていようとしています。
「黙るなんて卑怯だぞ、何か話してくれないとわからないじゃないか」
「拓也ね、あれだけ尽くしていたのに婚約破棄ってあまりにも
ひどいと思うよ」
「確かにそう思うけどな、でも、しょうがないだろ」
「何がしょうがないって言うのよ、尽くしていた女性に婚約破棄させてって
言うのは認めない」
「何度でも言うからな、鈴、婚約破棄させてくれ、頼むよ」
「聞こえません~聞こえません~」
「くそぉっ、これだといつまで婚約破棄出来ないじゃないか」
拓也が婚約破棄出来ないから困っているようね。
「鈴、こうなったら裁判で片付けようか」
「さ、裁判!?」
「そうだ、裁判だ、鈴が婚約破棄を認めないし、聞こえないとか言うし、
裁判しかないだろ」
「裁判はやめてよね」
「だったらな、今ここで婚約破棄を認めてくれ」
「嫌です、聞こえません、聞こえません」
「ほらなっ、そうやって言うしな、これだと同じ事の繰り返しだ」
「あのね、婚約破棄ってね、相手も自分も悲しいし、つらいの、わかってるの」
「それぐらいは知ってるさ、けどな、ここ最近の鈴は上の空って感じで
俺の事を見てないだろ」
「そ、それは………………」
「思う所があるんだろ」
「はい、あります」
「だったらさ、婚約破棄されるのもわかるよな」
「う、うん」
私はこのまま婚約破棄を認めるしかないと思うと悲しくなってきました。
せっかく婚約破棄を認めないで聞こえないフリまでしてたのに………………。
でも、これ以上は無理だと判断したのです。
このまま続けてても裁判になるのは嫌だし、それに問題が大きくなれば周りにも
ご迷惑がかかるのも事実です。
それだけは私も避けたいというのがあります。
「ごめんなさい、婚約破棄を認めます」
「やっと認めてくれるのか」
「はい」
「婚約破棄する理由は鈴もわかっているだろうし、何も言わない」
「はい」
「鈴もいつまでもお元気でな」
「はい」
「拓也も幸せになってね」
「ああっ」
拓也からの婚約破棄を私はとうとう認めてしまって婚約破棄が成立。
婚約破棄されてしまったのは私に原因があります。
私に原因があるから、こういう事になってしまったのだとわかっています。
こんな事ならもっとしっかりとしていれば良かったと後悔しています。
次はこうならないようにきちんと恋愛をしたいです。
新しい恋愛をする時は同じ過ちを繰り返さないように気を付けようと思います。
次こそは幸せになってみせます。
婚約破棄なんて聞いていません!聞こえない~聞こえない~ 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019
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