第5話 趣味は何ですか、波多野さん(圭吾サイド)
「波多野さんと仲がいい子~?えぇ~、知らないよ~」
「そっか・・・」
昼休み、俺はクラス1情報通の女子・笹崎に、波多野さんと仲がいい生徒はいないか訊いていた。
どうしてこんなことをしているのかと言うと、波多野さんがどんな趣味を持っているのかを知りたいからだ。波多野さんと仲がいい人なら、知っているだろう。
俺としたことが、波多野さんの好みも知らずに自分のしたい話ばかり持ちかけていた。そりゃあ無視される訳だ。
波多野さんだって、好きなことについての話題なら俺とも喋ってくれるだろう。
そう思って弁当を食べながら本人に訊いてみたのだが、返事は帰って来なかった。なんだか上の空だったような気もする。
「って言うか、なんで波多野さんの友達なんか知りたいの~?まさか・・・倉谷くんは波多野さんのことが好きなn ─────」
「すそそそそそんな訳ないだろ!?俺は波多野さんとも仲良くなりたいだけ!そう、それだけ!」
好きな訳じゃない、と言っているのに、笹崎はニマニマしている。こ、こいつ・・・。
「そっか~、そう言うことなのか~」
「だから違うって!」
「怒ってる顔もかわいいね~、ますます好きになっちゃうよ~」
こう言うことをしれっと言ってのけるのが笹崎だ。
こいつは俺のファンを自称しているのだが、口を開けば俺が困るようなことばかり。
笹崎に波多野さんについて訊くのは間違いだっただろうか?
「いいよ~。笹崎真緒、倉谷くんの恋の為に一肌脱ごうじゃないの~」
「こ、恋じゃないけどよろしく・・・」
「またまた、誤魔化しちゃって~。あ、波多野さんの友達に会って、何をしようと思ってるの~?あたしが代わりにやってあげようか~?」
「・・・波多野さんの趣味について訊こうと思ってる」
笹崎の笑みが一層深まる。
「OKOK~!確かに、好きな人の趣味は知っておいた方が得だよねぇ~」
結局、午後の授業中も笹崎はずっとニマニマしていた。
だから、好きとかそう言うことじゃないんだって・・・。
・・・あれ、ほんとに違うのかな・・・。
波多野さん、惚れてください。 軽部 みな @matsumatsu12
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。波多野さん、惚れてください。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます