第6話 スキル検証

『浮遊』を使ったことで足が数センチだけ地面から離れた。

なんか体の内側の方のから何かが少しずつ減っていく感覚に、なるほどと思った。

この体から無くなっていく感覚はきっと魔力のことだろう。

大体の異世界ファンタジー小説ではそんなことが書かれていた気がするし。


「ちょっと飛んでみてくれませんか?」


アラン団長は、面白いものを見るような眼差しで、新しい物を発見した科学者のように興味津々だった。


雀は、このまま空を飛ぶと目立って嫌なので一度『浮遊』を切って、手に持っていた槍に『浮遊』を使った。


スキルを使ったことにより、槍が宙に浮いている。

そしてアラン団長に言われた通りに、少し操作をしてみることにした。


まずはゆっくり動かすことにしたので慎重にゆっくり「動けー」と思ったら考えた通りに動いた。

頭の中で思い描いた通りの軌道を通り、音も無く奇襲とかに使えそうだった。


「ほう、なかなか自由が効くのですか、もっと速くできたりしませんか?」


アラン団長は口端を少し上げて、さらに要求をしてきた。

だが、雀も気になっていたので特に文句も無く、実行することにした。


「あ、訓練の途中でしたよね?」


「ええ、もちろんですよ、かかってきなさい」


しっかり、同意を得られたので、矛先を団長に向けて全力でぶっ放してみた。


木刀を振ると音が鳴り、風が少なからず起きる。

だが、ぶっ放した槍からは全く音がしないでアラン団長の胸目掛けて突き進んでいった。


そして雀には全く見えなかったが、カキン!と金属音が鳴ったため、しっかり防いだことはわかった。


槍を弾いたアラン団長は、少し驚いた表情をした後、元の美男子顔の戻った。


「とても良いスキル構成ですね、『浮遊』だけで十分な速度が出るのに、『風除けの加護』で無音無風でさらに速度を上げる。なんとも面白い戦術です。

私もうっかりスキルを発動してしまう程の速度に奇襲性能、初見ではほとんどの人が回避できませんね」


そう褒めてくれた。

でも全力を出した筈なのに、なんか全力を出してないようなモヤモヤ感が拭えなかった。


「ほとんどの人が回避できないって回避してる人が言ってもなんか納得できないんだが、まぁ、そのこと信じておきます」


「タメ口言うようになりましたね、良いことですよ?もっとしなさい」


「そうか?まぁしろって言うならそうするけど」


なんかよくわからないがアラン団長とは普通に話せるようになっている。

何故だろう。


そんな思いをしながら、弾かれて上空まで行ってしまった槍を操作して【ボックス】の中に入れておいた。


「さて、今日はこのぐらいにしておきますかね、損害は木刀一本っと」


紙のような紙、実際紙なんだろうそれにそんなことを書いていた。


そしてアラン団長の手の中には、剣身がボキリと折れた木刀が収まっていた。

雀はそのことを見なかったことにして、アラン団長にノルマは達成したから部屋に戻って良いよと言われたので部屋に戻ることにした。











部屋に戻ってきたのは良いが、やる事がなさすぎる。

娯楽の物は何もない部屋だし、外には出てはいけない。

やる事がない。

それよりも、


「腹減ったー」


昨日から水以外何も口にしていないのだ。

しかも今は昼。

アラン団長は「もう少してみなさんの訓練が終わったら食事にしましょう」と言っていたのでもう少しで食べれるのだが、それまでの時間が暇で暇で仕方がない。


「そうだ!書庫ぐらいある筈だし、行っちゃダメとも言われてない!なら行っても何も言われない筈だ!」


なんとも言えない雀の発言に口を出す人もいないこの空間では、どんどん行動していった。


部屋を出て、階段を登ったり、降りたり、角を曲がったり、まっすぐ行ったりと、

城の中を探検して、とてもウキウキしたなんて誰にも言えない。


そしてついに書庫を見つけた。


書庫の扉には本のマークが付いて、絶対これだろと思わせる扉だった。


中に入ると、本独特の濃い匂いが漂っていてとても手が届かないようなところにも本があり、とても広かった。


「これから俺は本の虫になってやる!」


今ここに本教徒が誕生した

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ぼっちだけどクラス召喚されたので無双する 運蓮 @unren

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