第5話 訓練

目がさめる。

眠っていた間のぼんやりとした頭のままベットから起き上がり、窓の外を見た。


外は晴れ、日本と違う空気な気がした。


「また集まれって言ってたっけ」


「明日は訓練だからー」的なことを言っていた気がする。

集合場所は確か昨日召喚された場所かな。


ベットから起き上がったことによって寝ていた脳が起きるとともに昨日のことも思い出していた。


クローゼットに入っている服を着て、昨日召喚された場所に向かった。











もうすでに何人かは集合していた。

そして銀色の鎧をつけたロングヘアの美男子が前に立っている。


まだ全員集まっていないのでみんなの様子を確認んすることにした。


男子はワクワクした様子で落ち着きがないし、村人だったオタクは感情が安定していない表情だ。

女子は固まって何か作戦会議でもしてるのだろうか。


そんな人間観察をしていると、前に立っていた美男子が話し始めた。


「みなさんよく集まってくれましたね、今日から2ヶ月後にダンジョンに潜ってもらいますので訓練をしましょう。怖い、不安があるでしょう。ですが、この世界を救うために今日から訓練をしてもらいます。

2人ペアで1人の騎士団がつくようにしますのでペアができたら階段降りてずっと右の訓練場に集合してください。」


美男子は異論を認めないようなスパッとした言い方で誰も反論しなかった。


ってか、このクラス奇数なんで、俺ぼっち決定です。










みんな仲良しペアで組んでいて俺は1番後に部屋を出た。

そして言われた通り訓練場に向かったら数十人いるであろう鎧を着込んだ騎士がいた。


またあの美男子前に立ってるし。


「ペアごとで列に並んでくださいね、そしたら適した騎士を配属させますので」


みんな仲良しペアで並び、俺は最後尾。

いつものことだ。

みんなどんどん騎士と組んでいく。


ってか、騎士の人みんな強面で話しかけられないんだけど。


「あら、君のペアはいませんか?」


俺の番がきたみたいで美男子に聞かれた。


「まぁ、いないです」


「そうですか、前衛ですか?後衛ですか?」


いや、『ぼっち』です。

と言う勇気もないので素直に答えておこう。


「多分前衛です」


「そうですか、なら私と組みましょう」


「……は?」


思わず声が出た。

確かに鎧着て強面の人と訓練やるよりはマシだが、こんな美男子も嫌だ。

もっと普通の人がいい。


「それではペアができましたので、騎士に従って訓練を開始してください。使用するのは木刀でお願いします」


みんなハキハキとした返事をして、騎士に従っていろんなところに散っていった。


「それではまず、自己紹介から行きましょうか」


目を見つめて優しく微笑んできた。

くそ、その顔やめてくれ。眩しい。


「私は、ララクス王国騎士団団長のゼルギア・アランです、これからよろしくお願いします」


やっぱり団長様でしたか。

薄々気が付いていたけど。


「えっと、名前は兎牙 雀で、職業はぼっちです」


アランはずっと目を見て話してくるのでなんか気まずい雰囲気になってしまった。

もう周りは木刀を持ち、形から訓練をしている。


やだな、今日から毎日こんな訓練するのかよ

そんな思いは誰にも届かなかった。


「それでは、我々も始めましょうか、さあ君の愛武器を出してください?」


愛武器?

なんだそれは。

木刀じゃないの?


「召喚時に身につけてた武器ですよ」


「ああ、わかった」


どうやらアランはあの槍のことを言っていたみたいだった。

なので、ボックスと言い、感覚で取り出した。

真っ黒な槍が出てきた。


「面白い槍ですね」


なんかニコニコとしてキモい。

そしてアランは木刀を手に取り、始めようかと言ってきた。

そして自由に打ってこいときた。


なので少し重く感じる槍で、とにかく突っついた。

素人なのであっているかわからないが、とにかく頑張った。


しかし、アランは木刀で簡単に受け流したり、避けてしまったりして、全く当たらなかった。


「スキルは何があるのですか?」


避けながらそう尋ねてきた。

俺は疲れながらしっかりと答えた。


「なるほど、強化系の職業に、ヘンテコ魔法に貯蔵に加護ですか、まずは自分を知るために全てのスキルを発動させてみなさい」


やれと言われてできたらもうやってるよ。

アランは全く疲れた表情をしないでこちらの動きを待っていた。

スキルなんて使えるわけないっつーの。

どうやって魔法出すんだよ。

そもそも日本にいた時はそんな異次元なことは無縁だし。

できるわけ…

……

………

…………

いや、やっぱり使えるかもしれない。

雀は歩くような感覚で簡単そうな『浮遊』を使ってみた。

特に意識して発動とかではなく、空飛びたいな的な、人が地面を歩く感覚で空を飛ぶことができた。

特有の浮遊感と足裏に地面の感覚がなくなった。


「なるほど、それは『浮遊』ですか。なるほど運搬などに役立ちそうですね、どんどん行きましょう」


どんどんってな、そんなポンポンスキルなんて素人の俺に使えると思うのかよ


雀は目の前の美男子、アランがとても嫌いになった。

少し睨んでも、なぜかニコニコしてキモい。

周りのみんなは木刀で騎士達と模擬戦的なものをやっていた。

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