2021/05/23

 この日記を更新するのは随分と久しく、もう日記の書き方すら忘れてしまったような気すらある。ただ誰に見せるわけでもない日記を誰かが読むことを想定して書くという面倒な作業はしたくないため、自分勝手に荒々しく、縦横無尽に好き放題書きたいと思う。人生そんなもんでいい。


 中途採用で入社した工場に勤務して、一年と数ヶ月。そのなかで分かったことが二つある。

 それは、自分は工場勤務に向いていないこと。

 そして、もう物を作りたくないこと。

 自分には体力がない。「工場で一日働ける体力はあるだろう」という野次がどこからか飛んできそうだが、しかしこれは劣悪な労働環境で酷く学んだ事柄の一つであり、現状どうしようもない事実だ。

 体力がなく、すぐに疲れる。機械の動きは一定であり、物を可及的速やかに加工するには操作する人間の動きを速めるのが最善手なのだが、私がそれをやると午後まで体力が持たない。それゆえ、一日に同じものをずぅっと作るならともかく、異なる仕様の品物らを早く作るとなると、これがもう相当体に負担がかかる。……私に仕事を教えた車好き且つ二輪車好きの先輩(身体的特徴から、以降その人を“サイヤ人”と呼称)は私に度々苦言を呈する。こんな出来では今後やっていけない。残業も増え、他の工程にも迷惑がかかる。

 うるせぇな。そんなことぐらいこっちが一番分かってんだよ。精一杯やってこれなんだよ。でもこれを言ったらサイヤ人は「だったらほかの方法で早くしろ」と言い返してくる(ていうか言われた)。面倒だな。精神と時の部屋で修業しろってか?

 一言ぐらい言い返してやりたいが、しかし原因は私自身にあり、言ったところでどうにかなる問題ではない。

 私は耐えることにした。


 され、もう物を作りたくないというのは、上記の問題に付随するものだ。

 工場勤めとは、物作りとは、それだけで体力を求めてくる(まあこれは配属する場所によるが。私のところは体力を要求してくる)。

 もう作りたくない。体力削れるし。精一杯やっているのに、様々なお言葉を投げかけられるし。

 でも私は耐えることにした。


 どうして耐えるかって?

 七月末に辞めるからだよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

とある工場勤務者の日記 Schrödinger's MF @Nastya_draw

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ