こもり その5
「いやぁ、お世話になったね」
えぐえぐと別れを惜しんで泣くルゥをだっこしながら子守をしてくれた息子たちに礼を言う。ルゥはヒナちゃんによく懐いていたみたいだ。
「ばいばい、やだぁ…!」
「ははっ、そんなに泣いちゃうとお目々溶けちゃいそうだねぇ」
「とけるの、やぁあっ!」
「余計泣かせてどうすんの」
エリは貸せと言わんばかりにルゥを私から取り上げ、額をピタリとくっつけた。ルゥは少しきょとんとしながらエリを見る。
「胡宵の学校が休みに入ったら遊びに行くから、それまでいい子で待ってて」
「ほん、と…?」
「ああ、約束。胡宵もいいでしょ?」
「うん、休みに入ったら行くからね。一緒にお絵かきとかしようね」
「ん…やくそく…」
ルゥが耳を垂らしながら小さく頷けばエリがルゥの顔を優しく拭いて額にキスをした。確かエリの妹や弟達が幼い時にああやってあやしていたなぁ。
ルゥは2人の頬にキスをしてから私の腕に戻された。泣かないようにキュッと小さな手で私のシャツを握りながら2人を見る。
「えりにぃ、ひな、またね…ばいばい」
「またね、ルゥ」
ひらひらと小さな手を振るルゥとそれに応えるヒナちゃんを見ていたら、エリにさっさといけというような視線を向けられる。
「それじゃあね。たまには帰っておいでよ、エリ。ヒナちゃん連れてね」
チュッと二人の頬に口づけをして、ルゥを落とさないように気をつけてふわりと空へ。
「さあ、ちゃんと掴まっているんだよ。お迎えが来てるから、少し飛ばすからね」
その後少し飛ばし過ぎたようで、帰ってからヘロヘロなルゥを見てアウロラに叱られるのはもう少し後の話だ。
エリといっしょ 冬月春花 @shi6_9ro
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