第5話 引きこもり魔女はネットカフェに引きこもる

 大木プラトンという少年は親切だった。やさしく西海岸モールの中を案内してくれて、引きこもりにやさしいネットカフェの個室まで連れてきてくれた。

 いくら感謝しても足りない。


 個室を与えられた私が最初にしたのは、『棘のマジナイ』だ。未知の敵を遠ざけるおマジナイで、敵意や悪意のあるものを追い払ってくれる。

 こういう全然知らない人がたくさんいる場所に来たときは、まず最初にやっておきたいおマジナイだ。

 効果があるとかどうとかより、このおマジナイをして、それを信じることで、心の平穏を得られるのだ。


 効果が出るまで、というか心が落ち着くまでは部屋にこもっていようと思う。

 避難所に滞在することになってどうなることかと思ったが、ここは個室で快適だ。人の目もないし、自宅にいるように安心する。


 ありがとうプラトンくん。ありがとうゾンビウィルスへの備え。

 そして心の平穏を与えてくれるおマジナイよ。


 もう少し落ち着いたら、このショッピングモール全体に魔除けのおマジナイを施そうと思う。マンションにも設置してたアレ。

 意味なんかないかもしれないけど、意味があるような気もするし、なにより私の心の平穏のために、このショッピングモールを私の中で安全な場所に設定しよう。


 ああ、お腹空いた。

 遠慮せずに食事もらっとけばよかった。


 でももう少し、落ち着くまではここで引きこもっていよう。


 ああ、一応美容のおマジナイもしておこう。

 っていうかオレンジ由来の美容液塗るだけだけど、引きこもりで日に焼けたことがない私は、これだけでも結構美肌だ。


 ああ。

 …………お腹、すいたな。



[後記]

ここで一旦完結です。

ネタに使いたくなるおもしろいオマジナイが見つかったら、完結のタグ外してエピソード追加するかもしれません。

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西海岸モールの魔女 西のほうのモノ @itou_yuuko

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