存在したはずの國、その情景がありありと浮かぶ一大傑作

まさに自分が求めていた、否待ち望んでいたと言っても過言ではない。現代に於いて大日本帝国が存在していたのなら、こうなっていただろう。それほどに現実性が迫ってくるものがあった。陸軍、特高、内務省、道庁、その他全てにほぼ欠けはなく、何もかも緻密に練られた上にストーリーがある。個人的には杉原たかね少尉が特に印象に残ったというべきか。彼女以外にも色の濃い人物は数多く存在する。是非とも皆様にはその目で確かめて頂きたい。
ここで敢えて欲を言うのならば、帝都に鎮座する内務本省内における、北海道に対する動きや思惑の動き(?)のような描写、また剣客巡査が如何にして北海道へ派遣されることになったか、その辺りをもう少し詳しく知りたかった。なにぶん突然の登場に驚きと戸惑いを隠せなかったからである。
いずれにせよ、この時点においても最高である事は信じて疑わない。多くの読者を獲得し、作品が大きなものとなるよう、切に祈るばかりである。

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