服毒ライフb

 愛情に色があるとしたらきっと黒だろう。何もかもが愛の名のもとに塗りつぶされ染まっていく。愛だよ。殴られるのも。存在を否定されるのも。ぜんぶ愛だよ。

 幸福の意味を調べるための辞書をどうやっても開くことができないから火をつけて燃やした。一瞬の熱だけが生きている実感で、だからもう生まれてこないほうがよかったとうそぶく。そうさ、いつだって毒杯を仰ぐ。でも。狂おしい酩酊感に溺れながらまだ発狂できない。

 クレヨンで描いた未来図。隅から隅まで真っ黒な画用紙。わかってる。子宮のように温かいモラトリアムはずっと前に終わっている。人生、と名付けられた紙片をばら撒いてどこへ行くというの幼子おさなご

 小さな唇がささやく。ピラニアになって生きたい。獲物を喰らうだけ。それだけ。

 奪う側でないと生きていけないから、適切な致死量が君を人間にする。それを人間と言っていいなら。

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