後日談・元ネタ注釈・あとがき

◆後日談

 魔法学院から“魔笛”を購入したマースハルト。その後マースハルトは、新作オペラ『魔笛』の初演直後、帝都ヴィエンナのホテルの一室で謎の変死を遂げる。匿名依頼『レクイエム』の未完成草稿を遺して……。調査に乗り出したドルジ一行は、マースハルトの裏で暗躍する秘密結社の存在を突き止め、マースハルトの死因はその秘密結社による暗殺であることを明かす。


◆元ネタモデル・由来

・ヴァルトベルク城:ドイツ・テューリンゲン州・アイゼナハにあるヴァルトブルク城がモデル。実際、中世には吟遊詩人達の歌合戦が行われた。ワーグナーの楽劇『タンホイザー』に描かれる。なお、ドイツ語タイトル「Die Musikmeister von Waldberg」は、ワーグナーの楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』(Die Meistersinger von Nürnberg)のもじり。

・ゼバストゥス・アンスバッハ:ヨハン・ゼバスティアン・バッハがモデル。

・アンナ・アンスバッハ:J.S.バッハの妻・アンナ・マクダレーナ・バッハが名前の由来。

・オラトリオ:本来は、聖書の中の説話を題材にした叙事的楽曲で、歌手の配役があり劇風の構成ではあるが、舞台装置や衣装、演技など劇の要素は付かない。

・聖女ブリギッドのサガ:「ブリギッド」はアイルランド・ケルト神話の女神。「大賢者ポードリク」の名は、アイルランドの守護聖人パトリキウスのアイルランド・ゲール語読みより。

・チェロ奏者ゴーシュ:宮沢賢治の童話『セロ弾きのゴーシュ』より。彼の所属する「ヴェヌス楽団」は、同作中の「金星音楽団」より。

・ヴァイオリン奏者ハーメル:漫画『ハーメルンのバイオリン弾き』より。

・グリム:『グリム童話』の編者として知られるドイツの民俗学者・グリム兄弟より。

・リヒャルト・フォン・ファウスト:ゲーテの小説『ファウスト』と、リヒャルト・ワーグナーのファーストネームより。

・アマデウス・マースハルト:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトがモデル。

・魔笛(ツァウバーフレーテ):モーツァルトの最後のオペラ『魔笛』(Die Zauberflöte)より。


◆あとがき

 ふとしたことからHDのバックアップを探っていたら、懐かしいものが出てきたので、手を加えて投稿させていただきました。原作はかれこれ○年も昔の作品です。

 さて、本作は一応、某TRPGのリプレイ小説です。

 「一応」と付くのは、拙作『雪灯』(https://kakuyomu.jp/works/1177354054891753359)と同様に、対面することなく、ダイスロールを使うわけでもなく、ゲームマスター含め四人のプレイヤーによって、電子掲示板BBS(死語!)での書き込みで繰り広げられた「リレー小説」的なものだからです。本作はそのログを元に、臨場感を活かしつつ大幅な編集を加えて小説仕立てにしたものです。

 また、舞台の世界観も、現実世界のドイツをモデルに、独自に考案したものです。

 メンバー皆が忙しくなり、オフラインでのセッションが困難になった時分……7ヵ月間・230ポストに亘って繰り広げられた本作は、内容的にも結果的にも、この「ドルジ一行」シリーズの最終章的な物語となりました。

 異世界ファンタジーとして、「魔法」や「亡霊」などが出てきますが、無制限になんでも超自然的なことが起こるわけではなく、某TRPGのルールに則り、それぞれの制約の中で限定的に魔法が使えるという世界です。そのため、「何者が、いかなる魔法を駆使すれば、この現象を引き起こせるか」という、「ミステリ」に近いトリック推理的な要素もあります。

 元のゲームをご存じなくてもお楽しみいただけるよう、魔法の技名に分かりやすい日本語表記を使用して、元の技名はルビとして併記するなど工夫をしてみました。ただ、やはりTRPGをご存じの方が、よりお楽しみいただけるかと思います。

 また、今回の舞台はドイツ風の世界、テーマは音楽祭ということで、ドイツ文化やクラシック音楽に通じていらっしゃると、よりお楽しみいただけるでしょう。

 最後に、この企画に付きあい、共にシナリオを紡いでくれた三人の仲間達に感謝を表します。


 2019年10月 鳥位名久礼

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ヴァルトベルクの名楽士 鳥位名久礼 @triona

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