怖い話6【浮気】400字以内
雨間一晴
浮気
彼は、私に優しく口付けをしてくれた。
昨日のデートを思い出しながら、街を歩いていると、彼がいた。
私の知らない女と腕を組んで、私といる時より幸せそうに……
(許せない……)
「ちょっと!その女、誰なのよ!浮気してたなんて。許せない……」
「え?ちょっと待ってくれ!」
とぼける彼を許せなくて、私は彼に掴みかかった。
「誰なのよ、このおばさん!浮気してたの?」
この女も許せない……
「あんたこそ、誰なのよ!私の彼なのよ!」
「ちょっと待ってくれ!お前こそ誰なんだよ!俺は、会った事も、名前すら知らない。俺の名前分かるのかよ?」
「とぼけないでよ!私の彼でしょ!名前くらい……」
彼の名前が出てこない、頭が痛い、彼はこんな顔だっけ……
怖くなって家に逃げ帰った私は、テーブルに腕時計を置いた。
(これは、彼がくれた物よ、彼に会いたい。そうだ、連絡取らなきゃ……)
携帯電話には、家族と病院しか登録されていなかった。
怖い話6【浮気】400字以内 雨間一晴 @AmemaHitoharu
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