4枚目


怒声と頭に感じた衝撃と痛みで目が覚めた。

お母さんが帰ってきていたみたいだ。

本があったのを見て、僕が本屋から盗んできたと思ったみたい。


ごめんなさい ごめんなさい


頭を抑えて必死に蹲るけど、こうなってしまったお母さんはもう止められないし、止まらない。


なんとか言ったらどうなのお前自分がなにしたかわかってんの 殺してやる お前みたいなガキ産みたくて産んだんじゃない


ごめんなさい ごめんなさい


僕は頭を抑えているから、お母さんは僕のお腹を足でいっぱい蹴りながら、僕に怒る時にうわごとみたいにいつも言う内容を喚いている。


蹴られた脇腹と殴られた頭がじんじん痛くなってきて、泣くつもりはないのに涙が出てきた。

耐えきれなくて嗚咽が漏れる。


うるせぇから泣くな


そう叫んで、お母さんは僕を一際強く蹴った。


僕の身体は数メートル吹っ飛んで、壁にぶつかって、ぼとり、落ちた。


お母さんは鼻息荒く僕の髪の毛を掴みにきたけど、電話がかかってきたみたいなので、舌打ちをしながらリビングに戻っていった。


荒い息をして、壁に背をつけたまま、ぼーっとしている。


身体があちこちじんじん痛いけど、痛いのにはもう慣れてしまったし、お母さんを怒らせるような事をした僕に対する失望の方が大きくて動けない。


嗚咽が漏れたので慌てて口を抑えた。


泣かない。泣かない。静かにする。いい子にする。


抑えている手もじんじん痛かったけど、その手に滴る涙が冷たくて、少しだけなにかに優しくされたような気がして、また涙が出てしまった。


お母さんはそのまま家を出て行った。

最後にもう一回僕を強く殴って。


僕はいってらっしゃいが言いたかったけど、痛くて呻いている内にお母さんは行ってしまった。


お母さんがいなくなった後、なぜだか涙が止まらなくなって、赤ちゃんみたいに泣いてしまった。


もう10歳なのに。どうして。


しばらく泣いた後、泣き疲れた僕は結局そのまま床で寝てしまって、朝起きた時風邪をひいているのだが、今はもう少しここで寝させてあげて。


23時過ぎ。そうして僕は再び眠りについた。


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甘くないラスク mo_modoki @mo_modoki

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