センター・オブ・ジ・アース

来年オリンピックも開催するいうことで外国人観光客が多く訪れるであろう日本列島。

その辺境にある温泉街は再開発がすすんでいたとさ。


「おーい!ボーリングはじめんべ!」


「はいよー!」


温泉街拡張のため、山に地質調査のためボーリングすることになった。


棒状の部分が錐のようにくるくると回って深く深くすすんでいく。


だがどうしたことだろうか? 急にガガという鈍い音を立てると調査用の機械が壊れてしまった。


あわてて逆方向に回すとゆっくりではあるが戻ってきた。


「なんかくっついてんのけ?」


「もしかしたら思いのほか浅いのかもしんねぇべ。」


地元民が話し合っていたとき、いよいよドリル部分が戻ってきた。

が、おかしい。

茶色っぽい物体がくっついており岩のようだった。


「ボーリングってこんなたっぷり採取しねぇでよ。」


その疑問はすぐに晴れた。


その岩は中央が裂けていて、どうやらドリルが刺さっているようだ。

そして光る―ちょっと生々しい―鉱石のようなものがついている。


下のほうからくびれ始め、また太くなっていく。

まるで爬虫類の顔のような…


「ギャオォォォォォォォ!」


「ななな、何じゃこりゃぁぁぁ!」


「きょ、恐竜がでたぁ!」


「中止じゃぁぁぁ!」


唐突な恐竜の出現によりすっかり臆した住民は、地下が恐竜の住処であると判断し、再開発を中止した。



世の中分からないことだらけである。


























「いやぁ成功じゃ成功じゃ!」


「昔映画会社で働いてた甲斐がありましたね。」


「この辺りの川はサンショウウオやホタル、とにかく貴重な生き物が数多く住んでるでな。」


「まさかあんな安い恐竜の等身大セットと合成鳴き声音源が役立つとはね。」


「現実は小説よりも奇なり。とかいうだろ?」


「合ってるような間違ってるような…」


「まぁとにかく河川の天然記念物保護の会による決死の作戦が功を奏したんじゃ。乾杯!」


「乾杯!!」


「乾杯!!」




世の中分からないことだらけである。

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