魔力「だけ」は化け物じみた俺と、魔力「だけ」がない天才魔道士ミヤビ先生

@onaka54ippai

プロローグ

「うっ......」




何回やっても、この感覚は慣れないな。力が抜けて、ふにゃふにゃになるこの感じ。




「はい。お疲れ様です。今回は......凄いですね。150000マギアになります。よろしければこちらにサインを」




俺は、魔力吸引装置から腕を引き抜き、研究員が差し出した書類にサインをした




「はいはい......アルフォーニア=ブレーズ。これでいいですか?」




「こちらが、お礼になります。ありがとうございました。また、よろしくお願いしますね。」




俺は、満面の笑みで、謝礼が入った封筒を受け取った。




「150000マギアか〜何しよっかなあ。美味しいものでも食べようかな」




研究所を出た俺は、多少ふらつきながら、ルンルン気分で俺は通りを歩いていた。



「むっ......」



後ろから、人の気配がする......近い?




「いってえ!」



ドン、と音を立てて、誰かが俺にぶつかってきた。わざとらしい声がしたが、絶対痛くないだろう。



「おい!どうしてくれるんだ!おい!お前だよ!」




俺は素知らぬ顔で過ぎ去ろうとしたが、後ろから、ぶつかってきたやつはそれを許してはくれなかった。後ろからぶつかってきといて、頭おかしいんじゃないか?......



「ん。」



ちゃらついたふんいきの男は右手を出した。俺は、自分の手をそこに乗っけた。



「ちげえよバカ!犬に芸仕込んでんじゃねえんだよ!金だよ!治療費だよ!慰謝料だよ!」



「でも、ぶつかってきたのはそちらですよね?......」



「あぁ?何か言ったか?......」



差し出した男の右掌には、小さな炎の渦が渦巻いていた。




「分かりましたよ......これでいいですか?......」




俺は、さっき受け取った金を、封筒ごと差し出した。




「ちっ......気をつけやがれ!」




ちゃらついた男は、乱暴に封筒を奪い取って、俺の元を立ち去った。




まただ。今月に入って3回目だぞ。どうやら俺の顔は、この街の不良連中に割れているらしい。




読者諸君は、なんでこんなに、あっさり渡すんだとお思いになったのかもしれない。しかし、俺はこうするのが最良の行動だと思っているのだ。




この世界で魔法が使えないのは、致命的と言っても足りないぐらいだ。初等学校に上がったばかりの子供だって、最低限の自衛魔法は使える。魔法を使えない俺は、こうやって身を守るしかない。




それに、俺は金に困っている訳でもない。あの程度なら、3日もあればまた手に入れることが出来るだろう。ちょっと前から、割のいいバイトにありつくことが出来ているからだ。











事の始まりは数年前、ある人物により、この世界に革命がもたらされた。





それまでの魔法に関する常識は尽く破壊され、魔法学に大きな進歩がもたらされた。その中でもとりわけ大きな功績といえば、魔力の定量化に成功した事だろう。





それまで魔法というのは、人智を超えた、人ならざる存在が人間に与えたものだと考えられていた。だから、なんかこういう呪文唱えたら、だいたいこうなるから、そしたら、いけるんじゃね?神やら悪魔やらに祈りをささげるとかさ。みたいなふわふわしたノリで、研究が進められていたのだ。




そのある人物というのが、魔法が纏っていた神秘のベールをズタズタに引き裂いてしまったっていうわけだ。魔法に、本人が主張するところのカガクテキシュホウ(これに関しては俺はよく知らないが)を採り入れ、あっという間に魔法の学問体系を書き換えてしまった。




魔力の定量化、つまり魔力量を測る厳密な基準を定めたことが本当に大きいらしい。(応用はこれからぼちぼち......らしいが、応用が実用段階に入った暁には、俺たちの生活の様子がガラリと変わってしまうらしい)キーとなるのは、魔力を溜め込み、任意のタイミングで取り出すことが出来る鉱石の存在だ。





その性質を持つ鉱石は複数種類あって、存在自体はかなり昔から知られていたが、魔法のコントロールというのは、その魔法が複雑になればなるほど、シビアな魔力の操作が必要で、せいぜい魔力を流し込んだらぴかぴか光るおもちゃに使われるとか、その程度の扱いしかされてこなかった。




しかし件の理論が導入されると、厳密に魔力を取り扱う事が出来るようになり、実用性が大幅に向上した。こどものおもちゃにしか使われなかった石ころは、は最重要資源へと早変わりしたのだ。




ついでに、俺の莫大すぎる魔力の価値も、跳ね上がった。魔力というのは、限られた自然現象から取り出すか、あとは人体が生み出したものを取り出すしかないので、今のところは、重要度の高いカラクリにしか、応用されない。




俺が魔法を使えないのは、生まれつきだ。医者いわく、魔力の生成量は人の数十倍、へたしたら、数百倍あるらしいが、魔力を魔法に転換する器官が、母親のお腹の中で育つ時、十分に発達しなかった。だから、俺は莫大な魔力を抱えているにも関わらず。まっっっっったく魔法が使えない。以前は、溜め込みすぎて爆発(比喩ではなく、本当に爆発する)するのを防ぐため、定期的に発散して捨てていた。




勘のいい読者はお気づきだとは思うが、割のいいバイトというのは、俺の膨大な魔力をおすそ分けしてあげることだ。150000マギア分の魔力は、だいたい俺の2~3日分の生成量に相当する。(ちなみに、1ヶ月魔力を溜め込むと俺は爆発するらしい)毎日抜きとると、日常生活に支障をきたすし、それなりに面倒なので、週に1回のペースで研究所に出かけて、程よく魔力を抜き取ってもらっている。



懐は潤いまくっているから、150000マギア程度......はぁ......極彩鳥のフルコースが......酒場のエリィちゃんへのプレゼントが......




俺はとぼとぼとした足取りで家に帰り、ベッドに飛び込んだ。



「もう、この街から出ていこうかな......」



「......様、アルフォーニア=ブレーズ様」



枕に顔をうずめていると、玄関先の方で、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。




誰だ。俺を1人にしてくれよ。とは思ったが、玄関先で放置しておくのも気が引けるので、重い足取りで俺は玄関に向かった。



「はあい。どちら様......えっ?」



扉を開けると、見たことも無いような上質な生地でできた、軍服調の服を着た男がたっていた。



「ある方から、重要な書類を預かってまいりました。差出人は開封してご確認ください。その前に......」



男は懐から小さな筒を取り出し、俺に手渡した。

筒を開けると、中には針が入っていた。



「こちらにおねがいします。」



そう言って、男は肩から下げたバッグから1枚の紙を取り出した。この様式の紙は、見覚えがある。



「血判を押せと?......」



男は黙って頷いた。



「あの......受け取り拒否というのは......」




「出来ません」



ですよね。わかってました。



受け取りに血判を押さなければならない書類なんて、聞いたことないぞ?だが俺は、男の鋭い眼光に気圧され、渋々血判を押した。




「それでは私はこれで......」




男は、そう言って去っていった。




おいおい、今日は変なやつにやたら出くわすな。

俺は自室に戻って封を切り、書類を確認した。




「王家の紋章!?」



書類の隅には、この国を統治する正当性を示した証が描かれていた。どうなってやがる。タチの悪いイタズラではないよな?王家を騙ることは重罪だぞ?




書類には、ある期日に、ある場所を訪れろと言ったようなことが書いてあった。これは勅令なので、背くと罰が与えられる、とも書いてあった。王様が俺に何の用だよ......




指定された場所に向かおうとすると、鬱蒼と草木の茂った森の中に突っ込んでいった。本当にここか?やっぱりイタズラだったんじゃ?...でもなんの為に?と思ってると、前方に、レンガ造りの建物が見えてきた。もしかして、あれか?俺は、建物の入口らしき所に恐る恐る近づいた。




「やあやあ!待っていたぞ!君のバカみたいな魔力量にセンサーがビンビンに反応していた!言われなくても君だとわかったよ!あれ?......何をしている。早く立ち上がって中に入りたまえ。ほら」




俺は、勢いよく開いた扉に盛大に顔面をぶつけ、地面に倒れ込んでいた。




「君......思ったよりも若いな。歳はいくつだ?」



「つい最近、18になりましたが......」



若いって、あんたがいうのか......俺は、ある部屋に通された。周りは怪しげな物体で溢れかえっているが、目の前で、足をバタバタさせながら椅子に座っている白衣を着た黒髪の少女(?)は一体誰だ?しかし珍しいな、黒髪なんて。話に聞いたことがあるだけで、実際に見るのは生まれて初めてだ。




「ああ、自己紹介が遅れたな。私はカミハラ=ミヤビだ。君とは長い付き合いになる予定だ。好きに呼んでくれたまえ。具体的な年齢は乙女のヒミツだが、君より少しだけ年上だ」



年上?嘘だろ?どうみたって、10代半ばってところじゃないか。よく見たら、目はくりくりしてて、鼻筋は通っているし、肌も雪のように(むしろ病的なまでに?)白くて、透き通っているようだ。なかなか...いや、かなり(顔は)可愛い?



「まてまて、自己紹介どころか、君にはここがどこかも説明しなきゃいけないな。それから、ここに来てもらった理由も。順番に話すから、聞いてくれたまえ。ここは私が王にわがままを言って作ってもらった個人ラボで、君にあることを手伝ってほしくて、また王にわがままを言って、君をここに呼び出してもらった」



なるほど。あの手紙王家の紋章付きだったのはそういう事か。って、この人何者だ???王にわがままを言って??そんなにすごい人なのかこの人?というか、カミハラ=ミヤビってってどこかで



「なんだ、驚いてくれないのか。王様にわがままをいってって、お前何もんだよ!?と思わないのか?」




いや、思ってるけど、俺の脳のキャパシティがとうに限界を迎えていて、驚く余裕すらないのだ。


あ、思い出した。




「カミハラ=ミヤビって、数年前、突如現れた天才魔導師の......」




「その通り。王はなかなか話の通じる人間でな。私の有用性をいち早く見抜いたのは彼だ。私の頭脳でもって、この国に莫大な利益と進歩をもたらすと約束した代わりに、いろいろ融通してもらってるってわけだ。まあ、厳密に言えば、私は天才魔導師などでは無いのだがな」




そう言って、カミハラ=ミヤビは鼻歌を歌い始めた。なんだこの歌?聞いたことも無いメロディだが......





「君、さっきからリアクションが薄すぎるが、どうしたんだ?分かった。私に見惚れているのだな。気持ちは分からんでもないぞ。私は可愛いからな」



「自分で言うんかい!!!!!」



「お。威勢がいいね。そうこなくっちゃ」



思わずツッコミが飛びでてしまった。なんなんだこの人は?



「......唐突かもしれないが本題に入るぞ」



カミハラ=ミヤビは急に真面目な顔になった。俺も釣られて緊張してしまった。




「一緒に、魔王を探す旅に出ないか?」




「あんた馬鹿なのか?」




魔王?おとぎ話や神話に出てくるあの魔王か?実在するわけないだろ?何を言っているんだ?




「いや、すみません。つい本音が。魔王って、あの魔王ですか?それとも、何かしらの例えとか」




「くっくっく......いいねぇ。馬鹿げたことだと思うだろう。それでいい。私は馬鹿げていると人が言ったのを、大真面目に実行するのがこの上なく好きなんだ。そうだ。あの魔王だ。この世界に魔法をもたらしたとされる、あの魔王だ」




カミハラ=ミヤビは愉快そうにニヤリと笑った。





「断言しよう。魔王は実在する」




「えっ?!」




「......可能性が極めて高い」




おいっ!なんだそれ!





「私はカガクシャだからな。カガクシャは例え確信を持っていたとしても、その事柄が証明されない限りは、断定は避けるのだよ」




カガクシャ?聞きなれない響きだな。そう言えば、厳密に言えば魔道士ではないと言っていたな。しかし魔王探しか。天才が行き過ぎると、かえって頭が悪くなるのだろうか?今どき、子供でも信じないぞ。



「魔王ですか?.......」




「ああそうだ。魔王なんかいるわけないって思っているのだろう?気持ちは分からんでもないさ。私の元いた世界......これについてはおいおい説明するが、そこにも魔王は悪の根源として神話やゲームやなんかに登場していたのだがな。この世界ではどうやら悪いヤツではないそうだな。魔法文明の創造主として、崇める宗教もあるようだし。だが、本当に存在していると信じているのは、頭がめでたいやつ扱いされるみたいだな。でもな、魔王はいるはずなんだ。いや、存在しないと辻褄が合わないんだ。しかしこれ以上セリフを長くすると読者に嫌われてしまうかもしれないな。まあいいか」




「いきなりメタい話ぶっこむなよ!」




元いた世界だって?一体どういうことだ?



「続けるぞ」



「はい」



俺、ちょっとこの人の話についていけないかも。




「数年前......君と同じぐらいの歳だったころ、私は魔法に関しては全くの素人だったからな。魔法についての書物を片端から読み漁ったのだ。歴史学、呪文学、錬金術、精霊術、サイコメトリー、テレパシー、テレポートetc......これらの知識を統合するとだな、魔法文明が始まったとされる約5000年前、何者かが派手なことをやらかした結果、魔法文明が生まれたと考えるのが自然なんだ。そして私は、派手なことやらかした正体が、魔王と呼ばれる存在だという仮説を立てた。伝承によれば、魔王は不死の存在で、今もどこかに眠っているとされている。私はそこら辺も含めて、一切合切、全ての謎を解き明かしてやる。どうだ、ワクワクするだろう?」





不敵な笑みを浮かべ、カミハラ=ミヤビは椅子から立ち上がり、右手を差し出した。




「私に、ついてきてくれないか?君の力が必要なんだ」




また急に真面目な顔になった。表情がコロコロ変わる人だな。しかし......




「お断りします」



俺は首を小さく横に振った。




「ほう」




「俺にメリットがないじゃないですか......それに、俺があなたの役に立てるとは思いませんし」




実を言うと、後半の方がむしろ本音にちかかった。魔法が使えない俺は、この世界では圧倒的に無力だ。なぜこの人は、魔力だけしかない俺を呼んだのだろう。





「そういうと思ってだね。ちゃんと準備はしてある。ついてきたまえ」




そう言ってカミハラ=ミヤビは俺に手招きをし、部屋を出てある場所へ向かった。






「ここいら一帯は自由に使っていいとのお許しは出ているのだがな、手入れも自分でせねばならんのだ。これが面倒なんだよ」





カミハラ=ミヤビと俺は、ラボを出て、森の中を進んでいった。





「着いたぞ」





少し歩くと、カミハラ=ミヤビは立ち止まり、指を指した。



彼女が指さした方を見ると、馬鹿みたいに大きな木がどっしりと立っていた。





「実はな、あれは枯れているんだ。立ち枯れの巨木ってわけだ。あのまま放置しておくのも都合が悪いし、君にちょっとあいつをどうにかしてもらいたい」





「どうにか?」




......どうやって?





「これを使うのさ」






てってれー♪とよく分からないことをいいながら、カミハラ=ミヤビは、白衣のポケットから、いかめしくてごつい装飾がしてあるブレスレットを取りだした。





「こいつを右手首につけて、あの木の上の方を指さして、やあ!でも、とう!でもなんでもいいから、思いっきり叫べ」






カミハラ=ミヤビが急にブレスレットを投げ渡したので、おっことしそうになったが、何とかキャッチし、言われるがまま右手首にはめ、ちょうど木のてっぺんあたりを指さした。




「やあ」




ん?





「なんにも起こらないんですけど」




素知らぬフリするように、巨木はザワザワと揺れている。





「馬鹿者、思いっきり叫べと私は言ったはずだ。もっと気合いを入れろ。しかし、ただ叫ぶだけだと芸がないな。そうだな、呪文を叫ぶことにするか。うーん、さしあたり、トニトゥルス!でいいか。さあ、もう一度」





「馬鹿者って、随分な言い草だよなあ......」





俺はもう一度木のてっぺんを指さした。






「トニトゥルス!」






その瞬間、凄まじい轟音と光が現れた。

あたりが白い光に包まれ、空間ごと爆音で揺れているようだった。










「......起きたまえ。ほら、ほら」







目を開けると、カミハラ=ミヤビが、俺の頬をペシペシと叩いた。どうやら俺は、気絶してしまっていたようだ。





「いいぞ、いいぞぉ!想像していた通り、想像以上だ!ほら、みろ!」





俺は、ゆっくりと立ち上がって、カミハラ=ミヤビがはしゃぎながら見ている方を向いた。





「な、なんなんだこれ......」



バカでかい木があったはずの場所には、ちょうど木の直径ほどの、大きな穴が空いていて、その穴からは、焦げ臭い匂いがただよっていた。





「君がやったんだ」




カミハラ=ミヤビが、したり顔で、僕の肩に手を置いた。






「君が、魔法であの木を消し飛ばしたんだ」




「魔法?俺は生まれてこの方、魔法なんて使えた事が」




心無しか、足元がフラフラする気がする。





「いや、君がやったんだ。君が魔法を使えない体質なのは既に知っていた。莫大な魔力を持て余していることもな」





そういえば、来た時に言っていたな。君の魔力にセンサーが反応していたとかなんとか。





「ブレスレットっとは私が開発した......魔法道具、とでも言っておくか。それには、君の代わりに魔力を魔法に転換してくれる機能が付与されている。まあ、さすがに一種類の魔法しか使えないのだがな。それには雷の魔法の術式が埋め込まれている。あれは、紛れもなく君がやったんだ」




俺はカミハラ=ミヤビの言葉が飲み込めず、呆然と立ち尽くしていた。




「さて、君はこう言ったね。メリットがないし、自分は役には立たないと。これで分かっただろう。私ならこんな風にして、君の有り余る魔力をこれ以上ないくらいの武器にして上げられる。言っておくが、私が開発した魔法道具はまだまだあるし、これからも色々作るつもりだ。それに、ポテンシャルから推測するに、君が本気出せばこんなもんじゃ済まないからな。さて」







カミハラ=ミヤビはふう、と息を吐いた。




「もう一度言うぞ。私に、ついてきてくれないか。君の力が必要なんだ」








カミハラ=ミヤビは、また俺に右手を差し出した。




「......メリットが、メリットがないじゃないですか」




「魔法を使えるようにしてやる。といったら?」




「っ!......どういうことですか?」





「正直なところ、君がどうしたら魔法を使えるようになるのか、詳しいことは今は分からない。だが私と行動を共にすることで、必然的にデータが集まってくるわけだ。そのデータをもとに、もしかしたら君が魔法を使えるようにしてあげられるかもしれない。まあ、これはあくまで可能性の話だがな」




カミハラ=ミヤビは俺を真っ直ぐに見つめている。





「はあ......」




気づけば俺は、カミハラ=ミヤビの右手を握っていた。





「不肖アルフォーニア=ブレーズ、カミハラ=ミヤビ先生にお供させてもらいます」





「よろしい!」




カミハラ=ミヤビは弾けるような笑顔を浮かべた。不意に、俺はドキッとした。反則だよなあ、こんなの。ズルい......




俺は、自分自身のちょろさ加減に驚き、呆れつつも、ほのかな希望が胸に生まれていたのを感じた。

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