最後のページ

 ある日の晩餐に運ばれた皿には靴が載っていた。それはどう見ても靴だった。どう見ても靴だが、靴ではないとも限らなかった。その確証はない。もしかしたら魚かもしれない。街灯のような料理人は「魚料理です」と言い、乗用車のような執事がその皿を運び、向日葵のような愛娘がその靴をフォークに突き刺して「どうぞ召し上がれ」と口元に突きつけてくる。そして、あなたは靴を咀嚼し始める。

 

 

<了>

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タデウシュ氏の見えない演劇 北条雨傘 @ksiezyc

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