十月二十五日、台風二十一号の影響による大雨

 数々の水害の影響が完全に癒えきっていない段階で、大雨が降った。台風二十一号は今回、日本列島をかすめていっただけなのだが、その余波で大雨が降った。


 特に千葉県は洪水の被害に遭った。

 主に外房線区域、そして佐倉などのもともと水郷の地域だ。またぞろ、一番お金があるはずの千葉市でも影響があった。

 外房線は雨で運休した。もともと外房線がやられる区域は決まっている。大網の山の中か、もっと茂原寄りの本納駅が冠水することでやられる。


 茂原市では特に被害がひどい。

 茂原市は毎年ではないが、定期的に水害にあう。

 条件があって、一ノ宮川とその支流地域だ。


 一番ひどいのは一ノ宮川本流の地域で、今回被害に遭った、茂原市八千代のあたりもそうだが、早野中学校周辺地域で一ノ宮川流域が酷いことになる。今回の被害もこの当たりが中心であった。

 中学の頃、この地域から学校に通っていた同級生がいて、話を聞いた。引きつった顔で、「床下浸水で済んだ」と言っていたのを覚えている。もう何十年も前の話だ。

 今回は早野で、という話はあまり聞かない。


 茂原市は日立の城下町であった。が、バブル崩壊後日立の工場が撤退したために、寂れてしまった。「もうだめだろう」と市民は口々に悲嘆の言葉を吐いていた。

 だから、治水にまでお金が行かなかったのだろうということは予測できる。


 関東地方でない方が読んでいると理解しにくいと思うが、関東から関西までは、東海道に沿って、人・モノ・カネが動いている。千葉県はその導線から外れているので、あまりこれらが流入しない。南関東なので、たとえば山陰などに比べれば、比較的裕福なのだが、それは千葉市・船橋市・市川市などの東京に近いエリアである。

 ハザードマップの危機基準が大幅に引き上げられて、それに応じて作り直さねばならないのに、行われなかった。資金難が理由だった。もう、千葉県などは田舎だと腹をくくって、もっと県全体でお金儲けをしなければならないと思うのだが、どうにも積極的ではない。もしかすると、県庁が千葉市の中心部にあるからかもしれない。人の想像力などそういうものだ。頻繁に人事を動かして、もっと南部や北東部などに人を動かして、現状を見せた方が良い。


 ただし、ハザードマップを更新しても、やはり今回の何度も食らった災害は防げない。それくらい想定外なのかもしれない。

 若い頃、一週間に二三回台風がやってきて、学校が一週間くらい休校になったことがある。ただ、警報が出たが肩すかしで、一週間連続でカラオケに行っていた。その当時はJRの払い下げのコンテナのなかで歌っていた。


 茂原市ではその氾濫が起きやすい地域、そしてハザードマップでは危険地帯ではなかった、想像もつかなかった地域が被害に遭った。それは長柄町である。長柄町は茂原市から見ると、山の方の地域というイメージだ。

 確かに山で洪水というイメージはない。

 しかし、死者も幾人か出たらしい。


 テレビや新聞、ネットなどで情報を集めていた。

 少なくともプロで飯を食っている連中、テレビ、新聞は報道姿勢を改めなければならない部分があると感じた。

 たとえば、茂原などに取材に行くのであるが、茂原のどこか詳細に説明しない。

 こういう報道を食い入るように見る人々は、縁がある人間だ。その人間には、詳しい情報を出しても理解するし、喉から手が出るほど情報が欲しいので、自分たちで調べる。ネットはやはり、詳しくどこの情報で書いてくれない。「ネズミ坂」という情報が出ていたが、そのどこなのかが分からない。

 扇情的に全国民が感情を共有できる情報を与える(そして視聴率を取る)という不文律は少なくとも、報道ではもう外すべきなのではないか。国民全体とはせずに、誰にその情報を伝えるべきかを考えれば、情報の与え方は自ずと変わるだろう。今被害に遭っている人に伝えるのであれば、もっと細かな情報と同時に全体的な概況をもっと与えねば、誰にとっても役に立たない情報になる。

 東日本大震災でサンドイッチマンが言った。

 「もう津波の映像は良いから」

 もっと被災者についての情報を出すべきだ。

 そのとおりだ。バカな芸能人のコメントもこうなると必要ない。

 延々と情報を出すべきなのである。

 視聴率など度外視して。

 

 

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都内、半パニック まさりん @masarin

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